次元が違う!クロフォードがスペンスに圧勝でPFP1位 井上尚弥は返り咲きならず
7月29日(日本時間30日)、ボクシング世界ウェルター級4団体統一戦で、WBAスーパー、WBC、IBF世界同級王者のエロール・スペンス・ジュニア(33=アメリカ)と、WBO世界同級王者のテレンス・クロフォード(35=アメリカ)が対戦した。
会場となったラスベガスのTモバイルアリーナには、2万人近くの来場者が押し寄せた。
無敗の王者達によるウェルター級頂上決戦に、世界中から熱い視線が注がれた。
試合の展開
試合開始のゴングがなると、互いに様子を見ながらジャブを突く。
序盤は互角の展開が続くと思われたが、均衡は早々に崩れ、2ラウンドでクロフォードがスペンスからダウンを奪う。
これを機に流れが変わり、以降はクロフォードの独壇場となった。
スペンスは距離を詰めようとするが、クロフォードの長いジャブで牽制され、詰めきれない。
対するクロフォードは、ジャブを基点にアッパーやフックと多彩な攻撃を見せ、着実にポイントを稼いでいた。
7ラウンドではロープ際の攻防の最中、クロフォードがアッパーから返しのフックで2度目のダウンを奪った。
そして迎えた9ラウンド、弱りきったスペンスにラッシュを浴びせ、防戦一方になったところで、レフリーが試合をストップ。
クロフォードが9回2分32秒TKO勝利を収めた。
勝敗のポイント
スーパライト級に続くウェルター級での4団体統一に成功したクロフォード。
まさか、PFP3位と4位の選手の試合で、ここまで差が出るとは思わなかった。
両者の体格を比べると、クロフォードが173cm(リーチ188cm)、スペンスが177cm(リーチ183cm)だ。
クロフォードは階級を上げてきたため、スペンスより小柄だったが、長いリーチとジャブを活かし戦っていた。
特筆すべきはスイッチヒッターである点だ。
右左どちらでも戦えるが、今回は終始サウスポーで戦っていた。
左構えと右構えの選手同士の対戦では、ジャブが当たりにくくなるため、サウスポーであるスペンスに合わせて左構えを選択したのだろう。
そうすれば、リーチを活かしつつジャブを効果的に使える。ジャブが当たれば、他のパンチも当たりやすくなる。
序盤からペースを掴み、焦って距離を詰めたスペンスにカウンターを浴びせ、見事、TKO勝利を掴んだ。
PFP1位は
今月発表された、リング誌の最新PFPは下記となった。
今月はトップ10にランクインする選手達の試合が相次いだ。
筆者はこの試合前の予想では、判定なら、先日4階級制覇を達成した井上尚弥が1位に返り咲き、KOならクロフォードが1位になると予想した。
PFPの選定は試合結果や内容だけでなく、対戦相手なども重要視されるため、世界的に評価が高いスペンスに圧勝した影響は大きい。
さらにクロフォードは、ボクシング史上初となる2階級で4団体統一に成功した。
クロフォードの1位に異論はないだろう。
井上も次戦で、現WBAスーパー&IBF世界スーパーバンタム級王者マーロン・タパレスに勝利すれば、これに並ぶ記録を打ち立てることになる。
今後井上にも、クロフォードとスペンスのような強烈なライバルがほしいところだ。