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井上尚弥、世界最強ランキングPFP1位返り咲きなるか

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:松尾/アフロスポーツ)

元世界バンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30=大橋)が25日、WBC、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、王者のスティーブン・フルトン(アメリカ)と対戦し、TKO勝利を収めた。

4階級制覇と2つのベルト獲得に成功したことで、井上のPFP1位返り咲きへの期待が高まっている。

PFPとは

PFP(パウンド・フォー・パウンド)とは、全階級を通じて最も強い選手を決めるランキングだ。

現代のボクシングは、ミニマム級からヘビー級までの17階級に分かれている。

さらに一階級に4人の世界王者(WBA、WBC、IBF、WBO)がいる。その他にもスーパー王者、暫定王者などを含めると、その数はさらに増える。

そんな数多くいる世界王者たちを格付けし、最強ボクサーを決めるためにできたのがPFPだ。

様々なボクシングメディアが独自の方法でランキングを作成しており、その中で最も権威があると言われているのが、米ボクシングの専門誌「ザ・リング」だ。

井上はバンタム級時代、2022年6月に発表されたリング誌のランキングで1位に選出された。

今回の勝利で、また1位になるのではないかとの見方も多い。

井上自身もランキングを意識しているようで、フルトン戦後「(PFP)1位に返り咲けますかね?一度1位になっているので、このランキングはすごく気になります」と語った。

現在のランキング

現在、リング誌のPFPは以下の通りだ。

1位オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)ヘビー級

2位井上尚弥(日本)スーパーバンタム級

3位テレンス・クロフォード(アメリカ)ウェルター級

4位エロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)ウェルター級

5位サウル・アルバレス・カネロ(メキシコ)スーパーミドル級

6位ドミトリー・ピボル(ロシア)ライトヘビー級

7位テビン・ヘイニー(アメリカ)ライト級

8位ガーボンタ・デービス(アメリカ)ライト級

9位ティオフィモ・ロペス(アメリカ)スーパーライト級

10位ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)ライト級

井上は、現在2位にランクされている。

このランキングを見ると、トップ10にランクインしているアジアのボクサーは井上だけだ。

さらに階級で見ると、ライト級以上のボクサーが多い。

中量級以上の人気が高いボクシングで、ただ一人、軽量級のスーパーバンタム級でランクインしているのは異例と言える。

ライバルの結果次第

井上が次回のランキング更新時に、1位になる可能性は高い。

しかし、本日開催(現地時間29日)のウェルター級4団体統一戦の結果次第となりそうだ。

この試合では、PFP3位でWBO世界ウェルター級王者のテレンス・クロフォード(アメリカ)と、PFP4位でWBAスーパー・WBC・IBF世界同級王者のエロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)が対戦する。

クロフォードは一つ下のスーパーライト級で4団体統一を果たしており、この試合に勝利すれば、世界初の2階級で4団体統一王者となる。

PFPの選考方法はメディアによって異なるが、勝敗だけでなく、試合内容、これまでの成績、対戦相手のレベルなど、さまざまな要素を踏まえ決定しているようだ。

井上のTKO勝利や4階級制覇の実績は加点対象になるだろうが、対戦相手のフルトンはトップ10に入っている選手ではない。

対して、クロフォードとスペンスは、ともに上位ランカーだ。この試合の内容次第では、井上ではなく、二人のどちらかが1位になる可能性が高い。

おそらく僅差の判定なら井上が1位に、どちらかが印象的なKO勝利を収めれば、2位に据え置きになるのではないだろうか。

フルトン戦での勝利は、日本ボクシング界だけでなく世界にも大きな衝撃を与えた。

日本のボクサーで、世界に名を馳せ、これほどまでに高い評価を受けた選手は井上が初めてだ。

PFP1位返り咲きに期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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