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王者の風格で圧勝した中谷潤人 井上尚弥との対戦実現の可能性はあるか

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供FUKUDA NAOKI

14日、有明アリーナでボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチが行われ、王者の中谷潤人(M.T)は同級1位のペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)を6回2分59秒でTKOし、2度目の防衛を果たした。

試合の流れ

序盤はサウスポー同士の静かな立ち上がりで始まり、中谷の左ストレートが決まった。2ラウンド目からは鋭いカウンターが当たり、3ラウンド目も中谷のカウンターパンチが有効だった。

4ラウンド目は中谷のパンチがさらにヒットし、39-37、40-36と優位を維持。5ラウンド目の接近戦でも優勢に立ち、6ラウンド目には2度のダウンを奪って試合を決めた。過去にKO負けがない相手に2度のダウンを奪い、圧勝した。

勝敗のポイント

中谷は長いリーチを活かした遠心力のあるパンチが強烈で、接近戦でも力を発揮する。今回も長距離、中間距離、接近戦とすべての距離でペースを握っていた。

減量の苦しさを抱えつつもフライ級から3階級を制した中谷にとって、今のところバンタム級が最適な階級だろう。

これで世界戦3連続KO勝利となり、日本人王者が多いバンタム級でも一歩抜けた存在となった。

井上尚弥VS中谷潤人の対戦

将来的に中谷は井上尚弥の最大のライバルになりそうだが、実現には課題がある。理由の一つは階級の壁だ。

一つ上のスーパーバンタム級で統一王者として君臨する井上は、近いうちにフェザー級への転向を示唆している。

減量の負担から階級変更を計画しているため、バンタム級の中谷とフェザー級の井上では2階級の差が生まれてしまう。

可能性があるとすれば、井上がスーパーバンタム級に留まっている間に中谷が階級を上げることだろう。

井上戦を実現したい中谷にとって、この階級での統一は不可欠だが、その強さゆえ対戦者選びは難航するだろう。

強すぎて対戦相手が見つからないのは、かつての井上と同じ状況だ。中谷が実績を積んでいけば、いずれ道は開けるはずだ。

井上VS中谷のビッグマッチの行方はどうなるのか。両者はPFPランキングにも名を連ねており、対戦が決まれば世界的に注目を集めることは間違いない。

井上は年末に試合を控え、中谷は来年春頃に防衛戦を控えているとの報道もある。今後の両選手の活躍から目が離せない。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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