オートバイのあれこれ『ヤマハの血が流れるトヨタのエンジン』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今朝は『ヤマハの血が流れるトヨタのエンジン』をテーマにお話ししようと思います。
オートバイだけでなく、船舶用エンジン(船外機)や電動自転車など、多様な製品を手掛けているヤマハ。
そんなヤマハは、個人向け製品ではないものの、四輪用エンジンの開発も行っています。
クルマ好きの人なら、よくご存知かもしれませんね。
今回は、ヤマハが過去に手掛けたクルマ用エンジンの話をしましょう。
ヤマハが携わったクルマ用エンジンというのはいくつかありますが、今回はトヨタ『セリカ1600GT』等に搭載された『2T-G』エンジンをピックアップ。
2T-Gは「トヨタの名機」と呼ばれることもあるくらいの知名度の高いパワーユニットですね。
ヤマハは、この2T-Gのツインカム(DOHC)ヘッドの開発を担当しました。
2T-G以前にも、ヤマハはかの名車『2000GT』のDOHCヘッドを作っており、「DOHCはヤマハに託せ!」というようなある種の慣習みたいなものが当時のトヨタ社内にはあったのかもしれません。
トヨタはヤマハの開発技術を信頼していたということでしょう。
1960年代当時、DOHCというのはレーシングマシンくらいにしか使われないプレミアムな技術だったわけですが、モータリゼーションが進みクルマがどんどん庶民の間にも普及するなか、トヨタは低価格で量産可能なDOHCの開発を決意します。
トヨタは自社開発した並列4気筒OHVの『2T型』エンジンをベースに、エンジンヘッドの設計をヤマハに依頼。
ヤマハはトヨタの命を受け、アルミを使ってDOHCヘッドを開発しました。
こうして、安価な量産型DOHCエンジンの2T-Gが完成したのです。
実は当時ヤマハは“本業”の二輪開発ではまだDOHCを作ったことがなかったので、DOHC開発に関してはバイクよりもクルマが先だったということになりますね。
(ちなみに、ヤマハが初めて作ったDOHCエンジンのバイクは、1973年(昭和48年)登場の『TX500』でした)
ヤマハ製DOHCヘッドが載った2T-Gは、排気量1,588cc/最高出力115ps/最大トルク15.0kg-mとなっていました。
2T-Gが最初に投入されたのは、1970年登場の『セリカ1600GT』(TA22)で、その後72年発売の『カローラレビン1600』(TE27)等にも採用。
2T-Gは「安く楽しめるDOHC」として人気を博し、以降のカローラシリーズなどへ受け継がれていったのでした。