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トヨタ自動車の新人キャプテン・姫野和樹の覚悟。日本代表入りへの思いは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
地元・愛知の春日丘高校(当時名称)出身。幼少期からトヨタ自動車に憧れていた。(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 国内最高峰トップリーグのトヨタ自動車で、新人キャプテンが期待に応えている。

 かつて南アフリカ代表を率いたジェイク・ホワイト新監督が抜擢したのは、フランカーの姫野和樹。日本選手権優勝3回という伝統を誇りながら近年は中位に甘んじていたクラブにあって、変革の象徴と目されている。

 昨季まで在籍した帝京大学では大学選手権8連覇を達成しながら、不動の先発となったのはラストイヤーのみ。下級生時は負傷にも泣かされており、過去のキャプテン経験は「高校の頃の東海選抜の時と、20歳以下日本代表での1試合だけ」だという。

 それでも8月18日に開幕を迎えると、26日の第2節(対近鉄、大阪・金鳥スタジアム、22-9で勝利)ではマン・オブ・ザ・マッチに輝くなど攻守で活躍。身長187センチ、体重108キロという巨躯を活かした突進とタックル、密集戦でのボールへの絡みつきで存在感を示している。

 9月2日。東京・秩父宮ラグビー場での第3節(対キヤノン、34-12で勝利)の公式会見後、グラウンド脇の通路で思いを語る。かねて渇望する日本代表入りへの見立ても明かした。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――明らかに、覚悟のにじむプレーが続いているような。

「本当ですか? …去年までのトヨタ自動車のことは知らないですが、いまは勝てるチームの雰囲気があると感じます。キャプテンのやりやすい環境というか…。僕がルーキーということで心もとないのか、僕が引っ張るまでもなく、皆が色々とサポートをしてくれる。僕は僕で、自分のやるべきこととして身体を張る。行動で示す。それがやれることであるし、やらなくてはいけないことだと思って臨んでいます。そういう意味では、覚悟、となるのかなと」

――チームでは、誰に助けられていますか。

「やっぱり、クラブキャプテンの北川俊澄さん(入部15年目の36歳で日本代表43キャップ保持)。トヨタ自動車のいい伝統、雰囲気の悪くなる時を知ったうえで『ここで落ち着こう』『気合いを入れていこう』と皆に声をかけてくれる。その経験値には助けられています。選手1人ひとりがすごく考えてやっています。メンバー外の選手も含め、皆が試合に出たい、日本代表に選ばれたいと思っていて、競争が激しい。誰が出てもそん色ない。だからジェイクも、色んな選手にチャンスを与えている。チームの底上げはすごくできています」

――長らくレギュラーだったタウモエピアウ・シリベヌシィ選手とイェーツ・スティーブン選手の両センターは、第2節まで先発も第3節はメンバー外。それぞれ5、4年目の春山悠太選手と増田大輝選手がその位置に入りました。

「きょうの両センターも春からすごくいいパフォーマンスをしていた。それもあって、ジェイクもパッと踏み切れたんじゃないかと思います」

――ご自身について。日本代表入りへの意欲は。

「ラグビー選手として目指すべきはそこですし、もちろんチャンスがあれば出たいと思います。でも、まだまだな部分もある。バックロー(フランカーなどのフォワード第3列)にはリーチ マイケルさん、アマナキ・レレイ・マフィさんとすごい選手がいっぱいいる。そこへ入るには、もっと実力をつけていかなきゃいけない。いまの環境、立場を活かして成長していけたらと思います」

 帝京大学では首脳陣の意向もありロックとしてプレーも、現在は海外出身者の多いバックローでの日本代表入りを目指す姫野。9月9日には京都・西京極総合運動公園陸上競技場で、リーチ擁する東芝との第4節に挑む。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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