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前半戦と後半戦のOPSが大きく違う打者。大谷翔平の223ポイント差は最大!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Oct 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2021年に500打席以上を記録した135人のなかに、後半戦のOPSが前半戦より200ポイント以上高かった選手は9人いた(.001を1ポイントとして表記)。なかでも、ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)とホルヘ・ソレーア(カンザスシティ・ロイヤルズ→アトランタ・ブレーブス/現FA)は、前半戦と後半戦を比べると、300ポイント以上も「アップ」している。彼らとは反対に「ダウン」した選手を含めても、その差が300ポイント以上は、他にいない。偶然ながら、2人のイニシャルはどちらもJSだ。

 ソトは、出塁率も長打率も、後半戦のほうが100ポイント以上高かった(OPS=出塁率+長打率)。出塁率は118ポイント差、長打率は194ポイント差だ(各スタッツの小数点第4位を四捨五入した後の差。出塁率と長打率のポイント差を合計しても、OPSのポイント差とは完全に一致しないこともある)。特に、目を惹くのは出塁率。前半戦に記録した.407を上回り、後半戦は.525に達した。それぞれの四球率は17.5%と27.0%だ。ソレーアは、出塁率が78ポイント差、長打率は235ポイント差。ホームラン1本当たりの打数は38.4と12.4なので、後半戦のペースは前半戦の3倍に加速した。本数からも、その違いは明白だ。前半戦の82試合で7本に対し、後半戦は67試合で20本のホームランを打った。

筆者作成
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 後半戦のOPSが前半戦より200ポイント以上低かった選手は8人いて、カルロス・サンタナ(ロイヤルズ)とジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ/ニューヨーク・ヤンキース)は、250ポイント以上も「ダウン」した。ただ、8人こちらの差の大きかった10人のなかでも、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は、後半戦も高水準の.905。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)も、.839と悪い数値ではなかった。この2人は、前半戦のOPSが極めて高く、1.000を上回った。大谷の場合、出塁率は後半戦のほうが高く、それぞれの数値は.364と.382。18ポイントの「アップ」だ。その一方で、長打率は240ポイントの「ダウン」(.698→.458)。こちらも、前半戦の数値の高さが理由の一つだが、ホームランを打つペースは9.1打数/本→18.2打数/本と半減した。ゲレーロJr.はそこまで下がっておらず、11.3打数/本→14.4打数/本だ。ちなみに、ゲレーロJr.と本塁打王を分け合ったサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)は、16.6打数/本→10.0打数/本とペースを上げた。OPSは.802と.932だった。

 なお、前半戦と後半戦のOPSが同じ選手はいなかったが、3人は1ポイントしか違わなかった。マーカス・シミエン(ブルージェイズ/現レンジャーズ)は.873と.872、ミッチ・ハニガー(シアトル・マリナーズ)は.803と.804、エデュアルド・エスコバー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス→ミルウォーキー・ブルワーズ/現ニューヨーク・メッツ)は.785と.786。ハニガーは、出塁率も長打率も10ポイント差。出塁率は.314と.324、長打率は.490と.480だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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