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靴下・衣類は裏返す?そのまま洗う?洗濯研究家が解説する【ニオイ・汚れ落ちが変わる洗濯術】

平島利恵洗濯研究家
「裏返す」「そのまま洗う」で汚れ・ニオイ落ちが変わってきます

洗濯研究家の平島 利恵です。
洗濯時に「家族が脱いだ下着・洋服が裏返ったまま」とお困りではありませんか?
衣類が裏返っていると元に戻してから洗濯したくなりますが、実は衣類には「裏返して洗った方がよいもの」もあるんです。

素材・汚れ・ニオイなどによっては裏返すことで、洗い上がりのよさや汚れ・ニオイ落ちが変わってきます。
今回は、「裏返す」「裏返さない」の判断基準と、汚れ落ちがUPするコツを紹介します。
これを知っていると、汚れやニオイをしっかり落とせるだけでなく、風合いを保ち、キレイな状態で長く着続けることができるようになりますよ。

[基準1]落としたい汚れに合わせる

「裏返す」「裏返さない」を判断する際の1つ目の基準は、落としたい汚れです。衣類には2種類の汚れが付着します。内側につく汚れと、外から付く汚れです。

洗濯機で洗う際は、表になっている面の方が水流の力を受け、汚れが落ちやすくなるため、落としたい汚れがついている方を表面にして洗濯機にかけます。

【汗・ニオイ】内側につく身体から出た汚れは裏返す

ニオイや黄ばみが酷い時は、温水洗いが効果的◎
ニオイや黄ばみが酷い時は、温水洗いが効果的◎

衣類の内側には、汗・皮脂・角質など、身体から出るタンパク質汚れが付着します。この汚れが衣類に蓄積し酸化すると、ニオイ・黄ばみ・黒ずみの元となります。

例えば、汗をかいた日の肌着・スポーツウェア、ニオイが気になる靴下、黄ばみが出ているシャツなどは裏返して洗濯しましょう。

【食べこぼし・メイク・花粉】外から付く汚れは裏返さずに洗う

シミに液体洗剤を塗布し、優しく揉んでおくと汚れ落ち効果がUPします
シミに液体洗剤を塗布し、優しく揉んでおくと汚れ落ち効果がUPします

衣類の外側には、外からの汚れが付着します。この汚れを落とさずにいると、シミになり、衣類の寿命を短くする原因になってしまいます。

例えば、食べこぼしのシミ、泥汚れ、花粉など、衣類の表面についている汚れを落としたいときは、裏返さずに洗濯しましょう。

泥汚れはもみ洗いが必要

泥汚れはよく乾かし、はたいてからもみ洗いしましょう
泥汚れはよく乾かし、はたいてからもみ洗いしましょう

靴下などにつく、泥汚れを落としたいときは、もみ洗いが必要です。
泥汚れは、砂の粒子の汚れで、この粒子が衣類の繊維の隙間に挟まっています。力を入れてゴシゴシこすると、粒子がさらに細かくなり、繊維の奥に入り込んでしまうので、優しく揉み出すイメージで洗いましょう。

[基準2]衣類の繊細さに合わせる

「裏返す」「裏返さない」を判断する際の2つ目の基準は、衣類の繊細さです。

ニットなど、表面の毛羽立ちを抑えたいものは、裏返してから洗濯します。
繊細な素材や、ボタンやレースなどの装飾がついているものは、裏返した後、畳んで洗濯ネットに入れる方が、より負担をかけずに洗濯ができます。

逆に、作業着・体操服・ユニフォームのように丈夫な生地で、表面に汚れが付着している場合は、表のまま洗濯機にかける方が汚れ落ちがよくなります。

衣類は洗濯のたびに劣化していく

例え高価な服であっても、衣類は着用と洗濯を繰り返すことで、経年劣化していきます。特に「洗濯」は衣類の寿命を短くする大きな原因です。

お気に入りの服を長く着るためには、洗濯時の負担を減らし、衣類の風合いを保つことも大切です。

繊細な衣類は洗い分けを

おしゃれ着は、おしゃれ着用洗剤を使って洗い分けましょう
おしゃれ着は、おしゃれ着用洗剤を使って洗い分けましょう

表面を毛羽立たせたくない衣類や、シワを防ぎたい衣類は、おしゃれ着コースで洗い分けしましょう。
通常コースよりも水流の力が弱く、衣類への負担を抑えることができます。

ニオイも汚れもどちらも落としたいときは?

とはいっても、表面の汚れも内側につくニオイもどちらも気になる!という衣類も多いと思います。
そんな時は、つけ置き洗いがおすすめです。

まず、表面の汚れが気になる部分に液体洗剤を塗布し、優しく揉みます。
この時、ゴシゴシこすると、繊維を傷めてしまうので、「洗剤を繊維の奥まで浸透させる意識」で揉みましょう。

気になる汚れに洗剤を塗布し、優しく揉みます
気になる汚れに洗剤を塗布し、優しく揉みます

その次に、40度程のお湯にアルカリ性粉末洗剤をよく溶かし、1~2時間ほどつけ置きし、洗濯機にかけます。

お湯でつけ置き前には必ず洗濯表示を確認しましょう!
お湯でつけ置き前には必ず洗濯表示を確認しましょう!

汚れに直接洗剤を塗布することで洗浄効果が高まり、お湯を使うことで、衣類に染み込んだ汗・ニオイが溶け出しやすくなります。
つけ置き洗いで身体から出るタンパク質汚れを落とせるので、表面に汚れが残っていれば表のまま、ニオイや黄ばみを徹底的に落としたければ裏返して、洗濯機にかけましょう。

しつこい汚れには重曹液をプラス

重曹を水で溶かします。保存は出来ず、使い切りです
重曹を水で溶かします。保存は出来ず、使い切りです

襟袖の黒ずみなど頑固な汚れを落とすときは、液体洗剤と一緒に10%濃度の重曹液をプラスし、ブラシなどでトントンと叩いてからつけ置きすると、汚れ落ちの効果が高まります。
この時も、力任せにゴシゴシこすると生地を傷めてしまうので注意しましょう。

洗濯の基本も忘れずに!

「裏返す」か「そのまま洗う」かによって、汚れ落ちは変わりますが、それ以上に大切なことは、洗濯の基本を守るということです。
洗濯の際は、次の3つの基本も忘れずに意識しましょう!

1.衣類を詰め込みすぎない!
(縦型:8割まで、ドラム式:5~7割まで)

2.すすぎは2回以上!

3.洗濯槽の掃除は月に1度

この基本を実践した上で、衣類に合わせた洗濯をすると、洗濯の「落ちない」「臭う」「シワになる」という悩みが解消されます。
洗濯の基本をしっかり知りたい方は、ぜひこちらの動画もご覧ください!

洗濯研究家

2004年武庫川女子大学を卒業。株式会社リクルートに入社し、株式会社マクロミルへ転職。東日本大震災をきっかけに布おむつ専門店を立ち上げ、EC事業を展開。2013~2015年NY在住中に揉み洗い不要のつけ置き洗剤の着想を得て帰国し、洗濯洗剤と布ナプキンプランド"Rinenna"を展開。現在、洗濯研究家として「洗濯の正攻法を伝授する」ことを自身のミッションに掲げる。TV、雑誌等のメディアへの出演多数。四児の母。クリーニング師。

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