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気温乱高下の春

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
春は発達した低気圧が日本列島を通過する季節

けさ(26日)、東京の最低気温は7.9度と、今年になって最も高い気温となりました。全国的にみても、4月並みの暖かい朝です。つい先日まで、最高気温がこのくらいの気温でしたから、ずいぶん空気の質感が変わりました。

この暖かさをもたらしたのが、日本海を通過していった低気圧です。低気圧は暖かい空気と冷たい空気の境目を通っていくので、お住まいの地域が低気圧の南側か、北側かによって、気温が大きく違ってきます。天気予報をみるときに、低気圧のコースに注目するといいでしょう。

ただし、季節外れの暖かさは天気が荒れる原因にもなるので、暴風や大雨、激しいふぶきなどに気をつけてください。

春は低気圧の季節

月別の低気圧の通過回数(最近10年平均)
月別の低気圧の通過回数(最近10年平均)

低気圧がどのくらい日本列島を通過するのか、月毎に数えてみました。

最近10年間の平均では、1月に3.7回、2月に5.0回、3月に5.7回、4月に5.0回と、3月をピークに増えることがわかります。つまり、低気圧の通過回数が増えることは、春へ近づいている証拠でもあるのです。

また、立春(今年は2月4日)以降、発達した低気圧に伴う強い南風を「春一番」と呼ぶのも、季節の移り変わりを表わしています。

今週は季節を先取りするかのように、低気圧が28日(火)と30日(木)に通ります。とくに、30日(木)は低気圧がより発達するため、全国的に風が強く、積雪の多い地域でも雨が降る見込みです。

最高気温の予想(東京、1月27日~2月2日)
最高気温の予想(東京、1月27日~2月2日)

また、全国的に気温の変化が大きくなるでしょう。

左図は東京の最高気温の予想です。

まさに、「乱高下」という表現がぴったりです。そもそも、気温は春に向かって、なめらかに上昇するのではなく、三歩進んで二歩下がるようなジグザグな変化をします。「乱高下」という言葉は英語で、Rollercoaster または Switchbackというそうですが、まさにそんなイメージです。

盛岡の放送局の方は、寒さのなかに春のきざしが感じられることを、「寒さのトンネルの向こうに、光が見えてきたようです」と話していたことが印象的でした。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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