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大谷翔平の契約は、長期契約と短期契約、両方の「いいとこどり」になる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平 Aug 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、大谷翔平は、長期契約ではなく、短期契約を交わすかもしれない。ESPNのオールデン・ゴンザレスは、大谷に近い筋の情報として、極めて年平均額の高い短期契約にもオープンな姿勢、と報じている。

 長期契約であれば、怪我や不調に見舞われても、年俸は保証される。解雇されても、球団から支払われる。一方、短期契約の年平均額は、一般的に、長期契約よりも高くなる。

 現時点の史上最高額は、総額が4億2650万ドル、年平均額は4333万3333ドルだ。

 マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)の12年4億2650万ドル(2019~30年)と、それに次ぐムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)の12年3億6500万ドル(2021~31年32年)は、いずれも延長契約。FAになった選手が得た契約に限ると、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の9年3億6000万ドルが総額のトップに位置する。

 年平均額のトップは、マックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)とジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)の契約だ。2人とも、FAとなったオフに、それぞれ、3年1億3000万ドル(2022~24年)と2年8666万ドル(2023~24年)の契約をニューヨーク・メッツと交わした。厳密に言うと、シャーザーの年平均額のほうがわずかに高いが、バーランダーの契約は、年平均額をシャーザーに揃えたと思われる。彼らは、どちらも、今夏のトレードでメッツから移籍した。

 ちなみに、トラウトの年平均額は3554万1667ドル、ベッツは3041万6667ドル、ジャッジは4000万ドルだ。大谷は、今シーズンの年俸が3000万ドルだった。

 あるいは、大谷は、長期でありながら、短期にもなり得る契約を交わす可能性もある。

 例えば、10年契約の2年目が終わったところでオプト・アウトできる権利がついていれば、2025年のシーズン終了後、大谷は、契約を打ち切ってFAになるか、打ち切らずに残留するのかを選べる。

 2025年に投手として復帰し、投打とも、ここ3シーズンと遜色ないパフォーマンスを披露したなら、再びFAになっても、そのオフのFA市場における最高の選手と目されるだろう。2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は30歳。昨シーズンのジャッジと同じ年齢だ。高齢のFAというわけではない。復帰がうまくいかなかった場合や、怪我によって長期離脱を余儀なくされた場合は、オプト・アウトせず、8年残っている契約を継続することも可能だ。

 また、自身のパフォーマンスや成績にかかわらず、2024~25年の2シーズンを過ごし、大谷がその球団で引き続きプレーしたいと思えばオプト・イン、したいと思わなければオプト・アウト、ということもできる。「お試し期間」といったところだ。これなら、トラウトのような事態を回避するチャンスは高まる。

 トラウトは、現在の契約の5年目を終えたところだ。この間のポストシーズン出場は皆無。トラウトがポストシーズンでプレーしたのは、2014年の3試合に過ぎない。その後、エンジェルスは、一度もポストシーズンにたどり着くことができておらず、来シーズン以降の展望も明るくない。

 長期契約、短期契約、オプト・アウトつきの長期契約。この3パターンの契約を大谷に提示する球団もあるのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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