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ヤンキースが獲得したこの投手は、山本由伸に続く「プランB」も失敗した場合の「プランC」なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
コディ・モリス Jul 14, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月26日、ニューヨーク・ヤンキースは、エステバン・フロリアルをクリーブランド・ガーディアンズへ放出し、コディ・モリスを獲得した。

 フロリアルは、26歳の外野手だ。センターをメインとする。メジャーリーグの実績は皆無に近く、4シーズンの48試合で打率.209と出塁率.313、1本塁打と6盗塁、OPS.609に過ぎないが、AAAでは、3シーズンの280試合で打率.265と出塁率.358、56本塁打と77盗塁、OPS.848。今シーズンは、101試合で打率.284と出塁率.380、28本塁打と25盗塁、OPS.945を記録した。

 一方、モリスは、27歳の右投手だ。4シームとカッターを主体に、カーブとチェンジアップを交える。こちらもメジャーリーグの実績は乏しく、2シーズンの通算は、先発5登板とリリーフ8登板の計31.2イニングで奪三振率9.09と与四球率5.12、防御率3.41ながら、AAAでは、3シーズンに先発12登板とリリーフ21登板で計85.2イニングを投げ、奪三振率12.82と与四球率4.52、防御率2.63を記録している。

 ヤンキースは、山本由伸を手に入れることができなかった。山本は、ロサンゼルス・ドジャースを選んだ。ここから、ヤンキースは「プランB」の先発投手を手に入れようとするだろうが、それもうまくいかなった場合に備え、モリスを獲得し、先発投手の候補を増やしたように見える。

 今月上旬にサンディエゴ・パドレスからホアン・ソト(とトレント・グリシャム)を獲得した際、ヤンキースは、投手4人(と捕手のカイル・ヒガシオカ)を手放した。

 彼らのうち、ドルー・ソープはメジャーデビュー前だが、あとの3人、マイケル・キングランディ・バスケスジョニー・ブリトーは、今シーズン、いずれもメジャーリーグで5試合以上の先発マウンドに上がった。ヤンキースにいれば、来シーズンの先発投手の候補だったはずだ。おそらく、キングはパドレスのローテーションに入るだろう。キングだけでなく、3人がローテーションに揃い踏みすることも、あり得なくはない。

 今のところ、ヤンキースのローテーションには、ゲリット・コールカルロス・ロドーンネスター・コーテズクラーク・シュミットの4人が並ぶ。あとの1枠は不透明だ。今シーズン、コールはサイ・ヤング賞を受賞したが、ロドーンとコーテズは2022年の好投――ともに155イニング以上で防御率2.90未満――から一転し、故障と不調に終わった。シュミットは159.0イニングを投げたものの、防御率は4.64だった。

「プランB」の先発投手が加わらなくても、モリスが開幕ローテーションに入るとは限らない。あくまでも、候補の一人だ。ヤンキースは、モリスをミドル・リリーバーとして起用することもできる。あるいは、シーズンが始まってからローテーションかブルペンに離脱者が出た場合や、不調の投手と入れ替える候補として、マイナーリーグで投げさせてもいい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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