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梅雨前線南下で気温上昇、熱中症に警戒が必要

饒村曜気象予報士
梅雨前線の雲(6月19日15時)

梅雨明けを思わせる梅雨入り

 令和2年(2020年)の6月10~11日は、九州北部から東北までの広い範囲で、一斉に梅雨入りとなりました(表)。

表 令和2年(2020年)の梅雨
表 令和2年(2020年)の梅雨

 このとき、梅雨末期を思わせるような高温で湿度が高い空気の流入によって、局地的に激しい雨が降りました。

 また、南からの暖気と強い日射によって各地で平年より高い気温を観測し、局地的に雨が降っている場所以外では夏日(最高気温が25度以上の日)や真夏日(最高気温が30度以上の日)が続出しました(図1)。

図1 全国の夏日と真夏日
図1 全国の夏日と真夏日

 気象庁で気温を観測しているのは全国921地点ですが、今年に入って夏日が一番多かったのは6月10日の786地点(85パーセント)です。

 また、真夏日が一番多かったのも6月10日で、354地点(38パーセント)です。

 つまり、多くの地域で梅雨入りした頃が暑かったのです。

 その後、大陸からの高気圧によって梅雨前線が日本の南海上に押し下げられたため梅雨の中休みとなりましたが、気温は平年並みか平年より低くなっています。

 梅雨の中休み後の6月18日からは梅雨前線が北上し、梅雨明けした沖縄地方を除いて雨が主体の天気となりました。

 しかし、梅雨入りの時と違って、気温があまり上がらない状態で雨が続くという、梅雨初期によくある天気でした。

 令和2年(2020年)は、季節の進み方がちょっと変でした。

今週末の天気

 今週末は、梅雨前線が南下し、沖縄付近で停滞する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(6月21日9時の予想)
図2 予想天気図(6月21日9時の予想)

 日本付近の高気圧は、一つのまとまった高気圧ではありませんので、雲が多く、ところによっては局地的な豪雨が降る可能性もあります。

 各地の週間天気予報を見ると、今週末から来週の前半は、梅雨明けした沖縄では雨の日が多くなっています。

 沖縄以外の地方では、晴れの日が多くなり、梅雨の中休みに入ります(図3)。

図3 気象庁が発表した各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図3 気象庁が発表した各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 そして、来週後半には、再度、梅雨前線が北上し、沖縄は晴れの日が続き、それ以外の地方は曇りか雨の日が続く見込みです。

 そして、気温は、西日本を中心に最高気温が30度以上の真夏日となる一週間になりそうです。

熱中症に注意

 図4は、ウェザーマップの発表した東京の16日先までの天気予報です。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 これによると、図3の気象庁の予報と少し違って、6月21日と22日には傘マーク(雨)がついています。

 ただ、降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEです。

 再来週になると、すべての日で降水の有無の信頼度がEです。

 それだけ、今週末以降の天気予報が難しいのですが、一つだけ言えることがあります。

 それは、今週末の気温が平年並みでも、週明け以降は平年より高い日が続くことです。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月20~26日は気象庁、6月27日~7月5日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月20~26日は気象庁、6月27日~7月5日はウェザーマップの予報)

 雨が降っても気温は高めですし、晴れて日射があれば気温がさらに上昇し、熱中症の危険性がありますので、注意が必要です。

 というより、今年は特に警戒が必要です。

 新型コロナウィルスの出現に伴い、感染症防止の3つの基本である「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗いや3密(密集、密接、密閉)」を避ける等の「新しい生活様式」が求められています。 

 令和2年(2020年)5月に、環境省と厚生労働省は「新しい生活様式」における熱中症予防行動をまとめていますが、これによると、気温や湿度の高い中でのマスクの着用は熱中症の危険が高まるため、屋外では人と十分な距離(2m以上)を取ったうえで、マスクを外すことを求めています。

 また、「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントは次のようになっています。

1 暑さを避けましょう。

2 適宜マスクをはずしましょう。

3 こまめに水分補給しましょう。

4 日頃から健康管理をしましょう。

5 暑さに備えた体作りをしましょう。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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