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秋雨前線と危険な組み合わせの台風11号が、週明けに九州へ接近するおそれ

饒村曜気象予報士
台風11号の雲(9月1日15時)

猛烈な台風11号の動き

 猛烈な台風11号は、次第に動きが遅くなり、2日(金)午前中にかけて沖縄の南でほとんど停滞した後、2日午後から北上を始め、3日(土)夜には先島諸島へかなり接近する見込みです(図1)。

図1 台風の進路予報と海面水温(9月1日21時)
図1 台風の進路予報と海面水温(9月1日21時)

 台風の情報は刻々と変わります。台風の進路予報は、最新のものをお使いください

 台風11号が停滞する海域の海面水温は、台風が発達する目安とされる27度を大きく上回る30度前後ですので、台風はさらに発達する見込みです。

 先島諸島では非常に強い風が吹き、うねりを伴い波が高く、きょうは大しけとなる見込みですので、沖縄地方では暴風やうねりを伴う高波に警戒し、大雨にも十分注意してください。

 台風沖縄本島や奄美でも強風や高波、強雨や雷雨に注意が必要です。

暴風に入る確率

 気象庁では、5日(120時間)以内に台風の暴風域に入る確率が0.5%以上である地域に対し、「暴風域に入る確率」を発表しています。

 この確率の表示については、5日(120時間)先までの3時間ごとの暴風域に入る確率と、24、48、72、96、120時間先までの暴風域に入る確率の積算値の2種類があります。

 図2は、沖縄県の石垣市と長崎県長崎地区の暴風域に入る確率です。

図3 暴風域に入る確率(9月1日21時発表)
図3 暴風域に入る確率(9月1日21時発表)

 これによると、石垣市では9月3日の夜遅くが一番高くて94パーセントとなっており、この頃に台風11号が最接近すると考えられます。

 また、確率が50パーセント以上となるのは、9月3月朝から4日昼前までと、丸一日以上、暴風域に入ることになります。

 先島諸島付近を通過する頃は、北上をはじめたばかりで速度がでていないからです。

 長時間の暴風や強い雨に警戒が必要です。

 また、長崎県長崎地区で暴風域に入る確率が一番高いのは、9月6日早朝です。

 暴風域に入る確率は、台風の予報円の大きさを考慮して計算されていますので、一般的に情報の発表時刻から先の時間になるほど予報円が大きくなり、広い地域に低く確率が予報されます。

 このため台風が離れている長崎地区は、確率が低くても、台風が接近することで確率が高くなることがあります。

 ただ、確率は高くありませんが、長崎地区の最接近が未明から早朝になるという可能性が高いことを示しています。

 台風11号の九州接近が夜ということで、九州は最新の台風情報に注意し、早めの避難が必要です。

秋雨前線

 秋雨前線が西日本~東日本へのびており、9月3日にかけて停滞する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(9月3日9時の予想)
図3 予想天気図(9月3日9時の予想)

 前線に向かって、太平洋高気圧の縁を回って、暖かく湿った空気が流れ込み、西日本~東日本を中心に大気の状態が非常に不安定となり、雷雨となって激しく降る所もある見込みです。

 9月2日0時から4日24時までの72時間で、西日本の太平洋側や沖縄では200ミリ以上の雨が降る見込みです(図4)。

図4 72時間予想降水量(9月2日0時から4日24時までの72時間予想)
図4 72時間予想降水量(9月2日0時から4日24時までの72時間予想)

 そして、西日本を中心に最高気温が30度以上の真夏日で、雨の日がしばらく続くという予報となっています(図5)。

図5 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図5 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 「台風と前線」という大災害が起きやすい危険な組み合わせになっていますので、各地とも厳重な警戒が必要です。

 そして、引き続き熱中症対策も必要です。

タイトル画像、図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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