NBA17年目のベテランが新天地でコートに立った
トレヴァー・アリーザにとって1年ぶりのゲームは、6分10秒の出場で無得点に終わった。
昨シーズンの途中からポートランド・トレイルブレイザーズに加わり、プレイオフ出場に大きく貢献したアリーザだが、トレード要員となり、ポートランドを去った。今季開始前にデトロイト・ピストンズ、ダラス・マーベリックス間での三角トレード、さらにはオクラホマシティー・サンダーへのトレードと、所属先が目まぐるしく変わった。
2020-2021シーズンの開幕はオクラホマシティーで迎える筈だったが、「子供の親権を巡っての話し合いが難航し、合流できずにいる」と報じられたままオールスターブレイクが終了した。
アリーザはオクラホマシティーで1試合もプレーしないまま、マイアミ・ヒートのユニフォームを着ることとなる。ヒートはサンダーに、メイヤーズ・レナードと2027年ドラフトの2巡目の指名権を譲る条件で、アリーザを獲得した。
そして、アリーザは3月19日のインディアナ・ペイサーズ戦でコートに立った。彼にとっては、2020年3月10日以来のNBA公式戦となった。
2日後にもペイサーズとのゲームが行われ、19分13秒間プレーし、アリーザは5得点4リバウンド。23日のサンズ戦では、23分29秒の出場で7得点、6リバウンド、1アシストをマーク。徐々に力を出しつつある。
35歳のアリーザは、自分の律し方、ゲームへの入り方を熟知している。ヒートは彼にとって10チーム目だが、TipOffに向けての集中力はチームメイトにも好影響を与えるに違いない。
年俸1280万ドルと、ヒートで4番目の高給取りとなったアリーザだが、昨シーズン、ファイナルに進出し、王者ロスアンジェルス・レイカースに善戦したヒートに新たなスパイスを与えるであろう。
ヒートは米時間3月23日の段階で、22勝22敗、東地区6位。昨季の強さは影を潜めている。アリーザが加わってからも3連敗と、苦戦を強いられている。
過去にもこのコーナーで紹介したが、昨年、アリーザは私のインタビューに、「私は他者と自分を比較しようと思ったことはありません。自分が出来うる最大限の努力をして、ベストな自分を作ることが肝心だと信じています。バスケ選手としてだけでなく、人間としてもそうです。〈いつもベストな己を築くこと〉を目標に生きています」と語った。
アリーザの立ち居振る舞いからは、彼の信条が伝わって来る。17年目のシーズン、大ベテランは何を見せるか。