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海外では日本の情報をどこから入手しているのだろうか(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
日本の情報を諸外国の人達はどこから手に入れているのか(写真:イメージマート)

自国と異なる生活様式や文化を持つ他国へ、興味を抱くことは誰にでもある好奇心の発芽。そしてそれは同時に、他国からもまた、自国がそのような興味を抱かれることを意味する。自国が他国からどのように思われ、どの部分に興味を持たれているかは、知る機会が少ない一方で、気になる話。今回は新聞通信調査会が2023年2月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)などの内容から、どのようなルートで日本の情報を入手しているかについて確認していく。

諸外国の人達はどのようなルートで日本の情報を入手しているのだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。ただしこの設問は直近年度の調査では省略されているため、2020年度の値で考察する(2020年度では新型コロナウイルス流行の影響でイギリスにおける調査が中止されているので空欄となっている)。

↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2020年度)
↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2020年度)

どの国でも最大の入手先はインターネット、ではなく自国のテレビや新聞、雑誌といった従来型大手メディア。インターネットがそれに続くが格差は大きい。学校教育も一部の国では相当数に上っているが、おおよそ従来型大手メディアとインターネットに頼っていることが分かる。

他方中国では唯一、インターネットによる情報取得が自国のテレビや新聞、雑誌を超え、最大値を示している。調査対象が中国では全国ではなく都市部なのも一因だが、インフラとしてのインターネットの浸透ぶりがあらためて認識できる。タイも調査対象が全国ではなく都市部なのも一因だが、インターネットの値が自国のテレビや新聞、雑誌に迫る勢いで高いのが特徴的。

ともあれ、他国への日本の情報周知にはインターネット経由はもちろんだが、それぞれの国に対する従来型大手メディアへの情報公開、教育機関向けの情報発信、来日している人たちへの積極的なアプローチが求められると考察できる結果ではある。歴史的背景を考慮すると難しいかもしれないが。

それでは回答者はそれぞれの自国メディアに対し、日本のどの部分の情報発信を望んでいるだろうか。見方を変えれば日本が他国のメディアに向けて情報発信・提供を行う際に、重点を置くべき分野である。こちらは直近の2022年度の値を適用してグラフを作成、考察する。

↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2022年度)
↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2022年度)

欧米は項目別に関してはおおよそ同じ優先順位だが、やはりアメリカ合衆国の期待度は高い。他方、欧米いずれもファッション・アニメ・音楽に対する期待度が低いのが意外か。

アジアではタイが全体的に高い値を示し期待分野が多方面にわたっていることが分かる。特に観光の値が他国と比較して高く出ているのが印象的。一方中国や韓国は自国内の項目では科学技術に関する期待が高く、政治・経済・外交政策が続いている。中国ではファッション・アニメ・音楽も高い値だが、韓国では低めの値となっており、違いが生じているのは興味深い。中国では低めの国際協力・平和維持活動が韓国では高い値になっているのは、日本との間で協力体制が必要な環境下にあるからだろうか。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2022年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国は電話調査とウェブ調査の併用、イギリス・フランス・韓国は電話調査、中国・タイは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2014年度分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。またイギリスの2020年度分は新型コロナウイルスの流行悪化の影響で調査はできなかったため、回答値が一切無い。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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