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「ペコちゃんのお人形をおうちに飾れたら」藤井聡太新叡王(19)記者会見コメント全文(1)

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

――いまの率直な気持ちは?

藤井「今回叡王戦で獲得という結果を出すことができたんですけど。そうですね、そのことについてやはりまだ、あまり実感がないという感じがします。今回のシリーズ、自分にとって初めてフルセットになって。将棋の内容的にも本当に勉強になるシリーズだったな、というふうに思っています」

――朝、対局に向かうとき、どのような気持ちだった?

藤井「フルセット、最終局というのは自分にとって初めてのことではあったんですけど。あまりそういったことを意識せずに、普段どおり臨めればというふうに思っていました」

――相手は豊島竜王。今回の対局にどのような準備をしてきた?

藤井「叡王戦についてはやはり、第4局がこちらの完敗だったので、その反省をふまえて。第4局では序盤で形勢を損ねてしまったので、そういったことがないように、一手一手しっかり考えて指そうというふうには思っていました」

――これまで番勝負で負けたことがない。何か思うところがあれば。

藤井「番勝負だと1つ負けても終わりではないので。その分、のびのび指せているところはあるのかな、というふうに思います」

――周囲は全冠制覇への関心が高まっていく。自身にとって冠(タイトル)を重ねることはどのような意味がある?

藤井「タイトル数自体はあまり自分としては気にしてはいないんですけど。去年からタイトル戦にけっこう出る機会を多く得ることができて。それで得たものも大きかったですし。そういった経験が今回の番勝負も活かせたと思うので、そういった点ではけっこう、いいサイクルで来ているのかな、というふうには感じています」

――「最終的にどれだけやれるかということの方が大事」と言っていた。最終的とは?

藤井「どこが最終的ということは現時点では特にないんですけど。どこまで強くなれるか、ということが、自分にとっていちばん大事なことかな、というふうに思っているので。年少記録などよりも常にそのことを意識して、取り組んでいきたいというふうには思っています」

――「最終的」とはどの時点かを言ったわけではない?

藤井「そうですね、はい」

――去年まで1勝もできなかった豊島竜王を相手に盛り返せた理由は?

藤井「内容的にはけっこう押されている対局が多いので、あまり盛り返したという意識はないんですけど。ただ、今年の朝日杯で初めて勝つことができて。それで今回の王位戦と叡王戦に落ち着いて臨むことができたという面はあるのかな、というふうには思っています」

――技術的にとか、説明できるものはない?

藤井「そうですね。力としては及ばない部分もやっぱりまだまだ多いのかな、というふうに感じています」

――コロコロしばちゃんに関して。ペコちゃんを自宅に飾る予定は?

藤井「本日、おやつにコロコロしばちゃんをいただいて。本当にすごくかわいらしい見た目だったんですけど。あまり、それをじっと見ていると食べるのが惜しくなってしまいそうなんで、すぐにおいしくいただきました(笑)。今回、不二家様からペコちゃんのお人形をいただいて。サプライズはとても驚いたんですけど。このあとおうちに飾れたらな、というふうに思っています(笑)」

――新叡王はずっと「25歳がピーク」だと語ってきた。あと6年、どう過ごしていくか。25歳にどういうイメージを抱いている?

藤井「25歳が絶対的なピークかどうかというのはわからないというか。またそういう段階になったら当然、まだまだ強くなる余地があると思うことにはなると思うんですけど。現時点ではそういったイメージで取り組んでいけたらとは思っています。こうして日々の対局でいろいろ課題が見つかるので、それを少しずつ改善していって、引き続き強くなることを目指していきたいなというふうに思っています」

――羽生九段は25歳のときに七冠を達成した。自身に八冠制覇の可能性はあるか?

藤井「全冠制覇ということについては、現時点ではまったく意識することではないかな、とは思っているんですけど。なんというか、一つの理想の形ではあるので。ただやっぱりそのためには、まずは実力はいま以上に必要になってくるので。現時点でそれを意識するのではなくて、より実力を高めた上で、そういったところに近づくというのは一つ理想なのかな、というふうには思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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