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藤井聡太王将(20)羽生善治挑戦者(52)長考相次ぐ 形勢互角のまま王将戦第1局1日目終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月8日。静岡県掛川市・掛川城二の丸茶室において第72期ALSOK杯王将戦七番勝負▲藤井聡太王将(20歳)-△羽生善治挑戦者(52歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 将棋史を代表するスーパースターが相まみえる王将戦七番勝負。社会的にも大変な注目を集める中で、七番勝負は開幕しました。

 後手の羽生挑戦者が一手損角換わりという、驚きの作戦選択で始まった本局。互いに早繰り銀の布陣から藤井王将が仕掛けて、午前から戦いが始まりました。

 藤井王将は今年度、先手番では20勝1敗。千日手で2回指し直しとなった棋聖戦五番勝負第1局で永瀬拓矢王座に敗れて以後は負けなしで現在17連勝中というおそるべき成績をあげています。

 羽生挑戦者は38手目を前にして長考。12時30分、そのまま昼食休憩に入りました。

 13時30分、対局再開。羽生挑戦者は1時間10分の消費時間で飛車取りに銀を打ちました。

 対して藤井王将は飛車を五段目に浮くか。それとも二段目に引くか。藤井王将もまた1時間16分の長考で飛車を浮きました。

 羽生挑戦者が飛車取りに銀を出るのに対して、またもや藤井王将は熟慮に沈みます。

 考えること1時間10分。藤井王将は41手目、飛車を四段目に逃げます。

 羽生挑戦者が藤井玉の近くに銀を成り込んだのに対して、藤井挑戦者は持ち駒の銀を打ち、しっかりと受けます。

 形勢はほぼ互角で、いかにも難しい中盤戦。羽生挑戦者からすれば、少なくとも研究勝負で遅れを取るという展開ではありません。観戦者の目には、後手番としてはまずまずの進行のようにも見えます。

 17時47分頃。44手目を考慮中の羽生挑戦者は、記録係の中沢良輔三段に「図面を作ってください」と語りかけます。これは封じ手をするという意思表示です。

 18時。

中沢「封じ手の時間です」

羽生「あ、じゃあ、封じます」

 44手目の消費時間は1時間41分。羽生挑戦者が44手目を封じて立会人の久保利明九段に預け、1日目の日程が終了しました。

 明日2日目は封じ手が開かれたあと、朝9時、対局が再開されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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