アルゼンチン人コーチが語る「日本代表vs.ベネズエラ戦」を前にして
元アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表で、現在は埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執っているセルヒオ・エスクデロ。
息子であるエスクデロ競飛王は、先日、京都サンガから韓国・Kリーグの蔚山現代に期限付き移籍し、背番号9を付けて活躍中だ。
そのエスクデロに、ベネズエラ戦を控えたサムライブルーについて訊いた。
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森保ジャパンになってから、選手が躍動感に溢れていますね。監督は、各ポジションで複数の選手にレギュラー争いをさせているし、よく走るようになりました。それも、「全員で走るサッカー」です。
わが祖国、アルゼンチンの代表チームは、このところ低迷しています。エースのメッシって走らない選手でしょう。今の日本代表には、ああいう“止まっている選手”“歩いている選手”がいないんですね。もちろん、ゲーム中にはミスもありますが、全員が走り回る様が、戦うスタイルに結びついていて、見ていて非常に気持ちがいいです。
僕は正直、ロシアワールドカップ時の日本代表よりも、現在のサムライブルーの方が強いと思います。経験のある選手と若手との融合が非常に上手くいっていて、可能性を感じさせるチームです。得点を挙げているのが、FWだけじゃない点も評価できます。
16日の対戦相手であるベネズエラは、ワールドカップに出場したことのない国ですが、今、力を付けています。ロシア大会の予選でも、ホームの試合は満員になっていました。ただ、国内情勢が不安定なため、代表選手たちといえども、サッカーに集中する環境にはありません…。
日本代表にとっては、アジア大会に向けたいい調整になるでしょうね。調子のいい南野拓実、中島翔哉、堂安律、室屋成などは、更に伸び伸びと自分の良さを出せる相手だと思います。思い切ってやってほしいですね。
個人的には、今後の中島と乾貴士のポジション争いに興味があります。ハイレベルな戦いになるでしょうから。
A代表だけでなく、最近の日本のサッカーは見ていて本当に面白いです。鹿島アントラーズがACLで勝ち、FIFAクラブワールドカップに出場しますが、どこまでやれるか楽しみです。今年の南米代表は、我が国のリバー・プレートかボカ・ジュニアーズなんですよ。永遠のライバルであるアルゼンチンの2大チームが、リベルタドーレス杯の決勝で当たるのは、歴史上初です。アントラーズに勝ち上がってもらって、リーベルかボカと戦ってほしいですね。
このところ日本人選手の活躍も目立ちますから、アルゼンチン国内で日本代表選手も知られるようになって来ています。大きな舞台でいいプレーをして名を売れば、ビジネスチャンスもそれだけ増えます。それがプロの世界なんです。
Jリーグも川崎フロンターレが2連覇しましたね。細かくパスを繋ぐ、テンポのいいサッカーを見せていました。ダイレクトで3つ、4つ、5つとボールを繋いでいく連動性や、3人目の動き、ボールを奪われたら即、守備に回る運動量は見応え充分でした。川崎は、来季ACLでの優勝も目指してほしいです。そして是非、ACL日本勢3連覇を果たして下さい。今の川崎の戦力なら、やれると思います。
日本にプロサッカーリーグが誕生してから四半世紀が過ぎ、指導者たちがドイツやオランダ、ブラジル、アルゼンチン、メキシコなんかで勉強し、育成の現場でそれを活かすようにして来ました。それまでは、ただ大きく蹴るだけだった日本のサッカーですが、第一歩として強豪国の真似をした。でも、身体の大きさや強さ、スピードでは敵わないから、日本風へのアレンジが求められた。で、今、森保監督がやっているサッカーになったんですね。
3年くらい前は、ACLで中国や韓国に敗れていましたが、このところ、グンと成長したように思います。文化としても、ようやく日本社会にサッカーが根付いたのではないでしょうか。代表の試合はチケットが売れるし、TVでも地上波が付くし、街にもたくさんのサッカースクールがあります。
この流れを止めずに、次のワールドカップでベスト8以上に食い込めるように、サッカー界全体で頑張っていきたいですね。まずは、明日のベネズエラ戦に期待しましょう。