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未来の世界チャンピオンと太鼓判を押される22歳

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 「ワタナベジム8人目の世界チャンピオンを狙える逸材だと、大いに期待しています」

 渡辺均・ワタナベジム会長の視線の先には、黙々と汗を流す22歳の若者の姿があった。

撮影:筆者
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 横山葵海(あおい)。2001年7月23日に大阪市西淀川区で誕生した彼は、この3月に拓殖大学を卒業し、間もなくプロデビュー戦を迎える。

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 横山は3歳の頃から小学校を卒業するまで、極真空手の道場に通った。全国大会で3連覇を飾った後、ボクシンググローブをはめる。より広い世界で勝負したかったのだ。

 「空手の攻撃は基本的に腹なんです。顔面にパンチをもらったことが無いので、当初は怖かったですね。ただ、こちらの攻撃時はボディー打ちがうまく使えました。距離感の違いに戸惑った部分もありますが」

 中学3年次にU15の全国大会決勝で敗れるも、浪速高校に進学し、上を目指した。

 「高校の部活が終わった後に、ジムでも練習しました。毎朝5時に起床して10キロ走やインターバル走をしてから電車で浪速高校に向かい、放課後の練習、そしてジムとボクシング漬けでしたね。とにかく強くなりたかったんです。高校時代はインターハイ3位が最高でしたが…」

 拓殖大にスカウトされ1年生からレギュラーとなる。フレッシュマンの頃はフライ級で、2年以降はバンタム級で戦った。

 「3年生の時に、全日本を獲りました。パリ五輪を目指していたんですが、バンタム級はチャンスがないということが分かり、それならプロで勝負しようと考えたんです」

撮影:筆者
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 横山は練習が好きだ。お世辞抜きで人の2倍の練習量を己に課している。1ラウンド1ラウンドの手数も、けっして先輩に負けないようにと、自分を追い込める精神力がある。

撮影:筆者
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 渡辺は言う。

 「大学4年次の1年間、きちんと資格を取って、介護の仕事に就いていたんですよ。お母さんとお姉さんが看護師なので、その影響かもしれませんが、老人のお宅に通って、トイレも含めた掃除、入浴や排泄のサポート等を率先して出来る男なんです。

 苦しい事、嫌な事を乗り越えていける要素だと私は感じます。そういう選手なら、プロでも成功できるだろう。我がジムとしても、華を咲かせてやりたいと思って誘いました」

撮影:筆者
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 横山は語った。

 「デビュー戦は、相手のパンチをもらわずに打つことをテーマとしています。圧勝したいですね。もちろんKOを狙います。スーパーフライ級で、4冠統一世界チャンピオンになって親孝行するのが夢です」

 横山葵海、是非、名前を覚えてください。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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