Yahoo!ニュース

オートバイのあれこれ『時代の異端児であり、ヤマハの異端児。』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『時代の異端児であり、ヤマハの異端児。』をテーマにお話ししようと思います。

XZ400。

この車名を聞いて、すぐにピン!と来たバイクファンは決して多くないはずです。

1982年(昭和57年)、ヤマハは水冷Vツイン(V型2気筒)エンジンを搭載した『XZ400』をリリースしました。

▲XZ400〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲XZ400〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉

82年というと、250ccクラスでは2ストモデル、400ccクラスでは並列4気筒モデルがそれぞれ人気を博していた頃。

当のヤマハも『RZ250/250R』や『XJ400』を展開してこのトレンドに乗っていたわけですが、その一方、こうした流行りのカタチではないXZも作っていたのです。

▲XJ400〈1980/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲XJ400〈1980/画像引用元:ヤマハ発動機〉

流行にそぐわない作りで仕立てられていたXZは、案の定大きな人気を得ることはできませんでした。

ただ、そういう異端的なバイクなだけあって、個性は抜群だったといえます。

やはり最大の見どころが、先ほども触れたとおり、Vツインエンジンを搭載していたこと。

ビラーゴ』や『ドラッグスター』等、クルーザー(アメリカン)モデルではいくつか例がありますが、スポーツ系モデルで4ストVツインエンジンを採用していたヤマハ車はほとんどありません。

(というか、4スト水冷Vツインのヤマハ製市販スポーツモデルはXZだけかもしれない…)

▲トレンド的にもマイナーだったが、ヤマハ車としてもマイナーな作りだった
▲トレンド的にもマイナーだったが、ヤマハ車としてもマイナーな作りだった

また、ドライブトレインがメジャーなチェーン式ではなく、シャフトドライブ式だったことも斬新でした。

当時(も現在も)、オートバイの世界でシャフトドライブというのはかなり少数派。

せいぜい、海外向けの大型モデルに使われるくらいのものでしたが、ヤマハは日本向けの400ccクラスにこのシャフトドライブを導入したのです。

▲YSP限定のツートーンカラーも用意された〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲YSP限定のツートーンカラーも用意された〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉

《水冷Vツインエンジン+シャフト駆動》という特徴だけで充分オリジナリティを発揮していたXZですが、そのポリゴンチックな佇まいも当時としては独創的で、どこか近未来的なオーラを醸し出していました。

Vツインエンジンに由来するスリムな車体、シャフトドライブによるスムーズな加速感はXZならではの魅力だったものの、やはり当時は性能優先の2ストだったり4気筒が人気の的だったこともあり、XZは世の関心を集めることができず、結局マイナーな存在のまま消えてしまったのでした。

▲大型カウルを装備するD仕様(XZ400D)も追加で登場〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉
▲大型カウルを装備するD仕様(XZ400D)も追加で登場〈1982/画像引用元:ヤマハ発動機〉

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

Rotti.の最近の記事