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統一戦10日前のWBOウエルター級チャンプが練習を公開

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 4冠統一ウエルター級タイトルマッチの開催地、ラスベガスTモバイル・アリーナで、現地時間7月19日に、WBOウエルター級チャンピオン、テレンス・クロフォードの公開練習が行われた。コロラドスプリングスで高地トレーニングを重ねたWBO王者は、決戦の2週間前にラスベガス入りした。

 メディアに告知された開始時間である14時を少し回った頃に会場に現れたクロフォードは、簡単な質疑応答の後、ジムに移動。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 バンテージを巻き、まずはロープスキッピング。次にトレーナの出すステック攻撃を躱すトレーニング、そしてシャドウ、ミット打ち、サンドバッグ打ちの順に、およそ1時間汗を流した。

 スイッチヒッターであるクロフォードは、同じメニューを必ず、オーソドックスで、そしてサウスポーでと念入りにこなしていく。ライト級から3階級制覇、スーパーライト級では主要4団体統一、そして現在保持するWBOウエルター級タイトルを6度防衛と、百戦錬磨の王者らしく、仕上がりは順調そうだ。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 この日のクロフォードの発言をご紹介したい。

 「人生の全てを意味する一戦だ。自分のキャリアの頂点だよ。この瞬間をずっと待っていた。

 ラスベガスの雰囲気と暑さに慣れるために、早めに現地入りした。当日の夜は、110%の状態でリングに上がる。いい準備ができているよ。ウエルター級はこれまでに歴史的なファイトが沢山行われた。今も、ボクシングの成長を担う階級だ。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 俺は、ただ勝つためにここにいる。(対戦相手の)エロールと自分のファイトマネーは同額。彼が試合後にどんなプランを立てているかは気にしちゃいない。ノックアウトも意識せず、ただ勝つことだけを考えている。

 俺はどんな競技を選んでも、絶対に勝てると思っている。それが自分の性格なんだ。たとえマイケル・ジョーダンと1対1をやったって、勝つためにプレーする。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 エロールは俺をブルドーザーで薙ぎ倒し、壊してやろうと考えているさ。それが闘志の源なんじゃないか。彼は試合の夜、自分の発言を証明しなければならない。

 この統一戦はベストのタイミングで実現した。4本のベルトが束ねられるんだ。最高のファイトになるさ」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 一部のメディアからは、「元々ライト級だったクロフォードは、WBA/WBC/IBFウエルター級王者のエロール・スペンス・ジュニアに体格で劣る。パワーに差がある」との声も上がっているが、筆者はそうは感じない。

 メガ・ファイトが刻々と近付いてきた。胸の高鳴りを抑えられない。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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