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わざわざ備えるのはめんどうだから「いつも」の暮らしの中で「もしも」のことも考える。

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

災害はいつかやってくるから備えなくてはいけないと思いつつも、備えることばかり考えるわけにはいかずつい後回しにしてしまうのではないでしょうか。

日本レベルで考えると頻繁にニュースなどで地震や河川の氾濫などの情報を目にしますが、個人レベルで考えるとそう頻繁に起こることではありません。

それが家庭の防災対策があまり進まない原因の一つなのですが、最近では防災の考え方も進化し、いつもの生活と非常時を切り離して考えないフェーズフリーという防災の考え方があります。

フェーズフリーとは?

大きな地震が起きたり、台風の情報が入ると、店には水、食料、乾電池などを購入する人であふれます。

人は自分が怖い思いをしたり、ニュースを見て不安になった時に行動を起こすのですが、平常時に災害を自分ごととして考えるのはなかなか難しいです。

平常時と非常時の間には「壁」があるのですが、その「壁」を取っ払い、平常時のことを考えながら非常時のことも考えるというのがフェーズフリーという考えです。

例えばキャンプ用品は、平常時は家族でキャンプを楽しむことができ、非常時は調理ができたり、在宅避難も可能になるかもしれません。

EV車は、平常時は燃費よく走ることができ非常時には発電機能になるものもあります。

そして、災害時救援時自動販売機は、平常時には通常の自動販売機として飲み物を発売し、非常時は飲み物を無料で提供し情報などを流すことができます。

このように平常時、非常時の両方において機能性を発揮するモノやサービスを指します。

フェーズフリー認定の商品やサービスはたくさんあり、そういった商品を購入することも防災対策につながるのですが、この考え方は家庭の防災対策でも応用できます。

家庭の中でのフェーズフリーとは

漬物や保存食作り、野菜栽培などをしている人は、平常時も非常時にも食料を手にできるという安心が生まれます。

少量の水でブロッコリーをゆでたり、ポリ袋で調理することは、便利で水道代節約になるのですが、電気や水道が使えない非常時にも役に立つ調理法です。

こういったことは家庭内で自然としている人も多いですが、普段行っていることが非常時にも役に立つということを平常時から知っておくことが大切です。

また、ローリングストックという食料備蓄の方法は、普段から食べ慣れている食品を少し多めに買い消費した分から買い足していくもので、

平常時は、普段の食生活に役に立ち、非常時には食べ慣れた味の食品を食べることができ安心感につながります。

長期保存用水を何本も備蓄することも大切ですが、スーパーに売っている水を少し多めに購入し、飲んだ分だけ買い足すようにし、「普段飲む水」と「非常用の水」に使い分けずにいつもの水がもしもの時の水になるというフェーズフリーの考え方は、家庭内でも負担なくできる防災対策です。

そして寝室に背の高い家具を置かない。玄関、廊下、階段の踊り場にはモノを置かない。普段から不必要なモノを手放すように意識する「片づけ」も立派なフェーズフリーです。

非常用持ち出し袋を準備している家庭も多いと思いますが、普段使いの電池やトイレットペーパー、ティッシュなどのストックがゼロになることなく、どこにあるか家族全員がわかっていることも大事です。

家族の時間にうまく「防災」を取りいれる

家庭では家族と防災のことを話そうと思っても、なかなかそのために時間が取れるものではありません。

そこで、キャンプなどのアウトドアレジャーを楽しむ家庭は、その活動が非常にも役に立つことを家族で理解し、もしもの時にすぐに活用できるように用具の管理やメンテナンスを続けてください。

また夏場は暑くてキッチンに立つもの大変なので「電気や火を使わない料理DAY」として、どんな料理ができるのか家族で楽しむことは非常時にも役に立ちますし、

散歩やピクニックに賞味期限切れ間近の非常用食品を持って行ったり、赤ちゃん用の液体ミルクを保存している家庭は、我が子は常温でも液体ミルクを飲むことができるのか試してみたり、

ピクニックのゴールを、地域の避難所にしたり、海から海抜〇メートルのところまで登ってみようと提案したり、普段のレジャーに防災を絡めてみるのもおススメです。

「防災」を平常時の余裕がある時に考えるようにすると、確実に後回しになります。

災害はいつ起こるかわかりません。「いつも」と「もしも」を分けないフェーズフリーの考え方でレジャーや片づけなど普段からできることをしてみてはいかがでしょうか。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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