【英会話】works at the company と言ったら微妙な顔された。なんで?
20年ほど仕事で英語を話していますが、直観的にイメージから英語が話せるようになっても、困るときがあります。私の持っているイメージが、文化的な違いのせいでズレてることがあるんです。
そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回はNative English Speakerが働くということをどうイメージしているかを知ることのできるお得なエッセイです。
友人がその会社で働いてるんだよ。
ちょっと前のことですが、English man のRichとの雑談で、ある日本企業の話になりました。大人の事情で、名前は出せませんが、世界的に有名なメーカーです。Richの生徒さんのひとりがそのメーカーにお勤めなんですが、その方、1ヶ月休みをとって、UEFA EURO2024を観にドイツに行くという話をRichにしてきたらしい。
すごいねぇ、日本企業に勤めててもそんなことができるんだね とひとしきりRichが感心していたんで、わたし、ちょっと嬉しくなって、その会社は、勤続10年ごとにリフレッシュ休暇をもらえるんで、普通の有給と合わせてそういうことができるんだよねぇ~ いい会社だよ、と内部事情っぽい話をしちゃう。そしたら、Rich、すかさずなんでそんなこと知ってるの? と訊(き)かれる。ついでにasset(情報提供者)でも忍び込ませた? その会社に? とふざけてくる。さすが、007の国出身。
実は役員がasset がでぇ~、なんて話せればおもしろいんでしょうけど、大した種があるわけじゃありません。わたしの大学からの友人がその会社に勤めてるんで、そういう話を聞いてたってわけです。それを、さらっとこう言ったんです。
A friend works at the company.
それで知ってるのさ、と続けたんですが、Rich、微妙な顔。
みなさん、この英語、どこが微妙なのか気づかれるでしょうか?
問題は、わたしが使ったat にあります。
私の世代は、会社勤めは宮仕えの滅私奉公、会社はゲゼルシャフト(機能体組織)でありゲマインシャフト(共同体組織)、社員は家族も同然、というイメージがなくなっている世代でして、会社という場所で働くというイメージで私はat を使ったんです。
でも、Richいわく、at だと物理的なその場所で働いているイメージなんで、必ずしもその会社の社員じゃないかも? と思っちゃうとのこと。
じゃあ、前置詞に何を使えばいいのかと悩むわけですが、ここで、Richがヒントをくれる。
だれのために働くの?
ですって。
そりゃ、自分のためだろ?
って答えたら、今度ははっきり首を振られて、
自分のために働いたら、給料もらえないでしょ? 働くってのは、自分の労力と時間を提供するってことなんだから、と言われちゃう。
これはもしやと思って、恐るおそる
A friend works for the company.
というと、Richはニッコリ、ぴったりくる言い回しだと褒められました。
~のために働く っていうと、会社のために自分のすべてを投入して、プライヴェートを犠牲にするって自己犠牲的なイメージがあったんで避けたんですが、Native English Speakerにとっては、そういうイメージはまったくないんですね。会社というゲゼルシャフトのために自分の労力を提供して、対価として給料をもらうだけの関係。会社に従属しているわけじゃない、対等の関係を前提にした、会社のために働く なんです。
なるほどなぁ~と感心してしまいました。
どうぞみなさんも、自己紹介などの時には、遠慮なくI work for ~~. を使ってください。大丈夫Native English Speakerは、この人、会社人間なんだ なんて思いません、というか思いつきもしませんから。
と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。
イラスト 大橋啓子