【沼津市】新名所「五代目小松 ひものや」が話題 地元の名産・ひものを再発見
2024年7月1日、下香貫汐入に新規オープンした「五代目小松 ひものや」が話題を集めています。沼津アルプストンネルへ向かう414号静浦バイパスを通ると、「ひものや」と記された大きな提灯やおしゃれなテラス席が目を引きます。お店を経営する有限会社ヤマカ水産の小松寛代表取締役にお話を伺いました。
地域の人たちにひものを思い出してもらいたい 五代目小松ひものやの狙い
ひもの製造業者であるヤマカ水産の小松さんですが、「地域の人たちにひものを思い出してもらいたい」という願いから、飲食店の経営に初挑戦したそうです。ひものは沼津の名産品の一つですが、近年は消費が減少しているのが現状です。小松さんは、ひものの流通過程での品質低下と、自宅でひものを焼く手間が消費減少の原因ではないかと考えました。
この二つの課題を解決するために誕生したのが「五代目小松 ひものや」です。製造者である小松さんが直接運営することで、流通過程による品質低下を防ぎ、店舗でシェフが調理することで、最適な焼き加減でお客様に提供できるようになりました。お店にはオープン当初から、地元だけでなく遠方からも多くのお客さんが訪れています。「家でひものを焼くのが面倒だった」という声も多く、まさに小松さんが予想した通りの課題があったようです。
本当の自分に気づかされた「静岡県中小企業家同友会」
現在、ひものの消費拡大に向けて忙しい日々を送る小松さんですが、一時はひもの屋を辞めようと真剣に考えたこともあったそうです。それまで何の疑いもなく水産業の道を選んできた小松さんですが、地域でのひもの消費減少や、食材となる漁獲量の不安定さから、将来に希望が見出せなくなった時期があったといいます。当時、新たな道を探ろうと入会したのが「静岡県中小企業同友会」でした。「ひもの屋を辞めたい」と思い入会したにもかかわらず、周囲の経営者との交流を通じて、本当は自分がひものが大好きであることに気づかされたそうです。例えば静岡県内にある静岡木工という会社が、神棚に特化した事業で成長していたことは、小松さんにとって大きな衝撃だったといいます。また、製麺メーカーの社長から「美味しい状態で口に入るまでが製造者の責任だ」という言葉を受けたことも、今回の出店につながったそうです。入会当時は「ひもの屋に生まれたことを半分恨んでいた」そうですが、今ではひもの屋に生まれたことが自分の使命だと感じているとのことです。お店が誕生した7月1日を「沼津ひものデー」に制定したのも、小松さんが代表を務める「沼津ひものの会」でした。
1000年以上続くひもの文化を後世に伝えたい
小松さんによると、ひものは奈良時代から存在していたという記録があるそうです。1000年以上根付いてきたひもの文化を後世に伝えたいという思いも、今では強く抱いているといいます。「この地域には、かつてひものを食べていた人たちが多いはず。美味しいひものを思い出してもらう場にしたい。また、沼津市大手町にあるチャトラコーヒーさんが焙煎し、ひものに合うようにセレクトしていただいたコーヒーを使用したカフェレストランなので、若い人たちにもひものに触れてほしいです」と小松さんは語ります。
開店当初はランチ営業のみでしたが、現在は週末のディナー営業もあります。日中の暑さが残る7月後半にお店を訪れましたが、テラス席では冷風扇風機の風が心地よく、美味しく焼き上げられたひものと、ひものにマッチさせたブレンドのチャトラコーヒーが、私たちを豊かな気持ちにさせてくれました。朝晩の暑さが和らぐこれからの季節、ひものカフェレストランで地元の味覚を楽しみながら、週末の夜を過ごすのも良いかもしれません。
五代目小松 ひものや
住所:〒410-0822 静岡県沼津市下香貫汐入2170-3
アクセス:東海道本線「沼津駅」南口より車で15分
駐車場:有り(8台)
席:店内8席・テラス20席
予約:可 (お電話にて)
電話:055-939-7821
■営業時間
金・土・日・祝 11:00~21:00
月・火・木 11:00~17:00
水 定休日
【ランチ】11:00~17:00 (L.O. 16:00)
【ディナー】17:00~21:00 (L.O. フード20:00 ドリンク20:30) ※金土日祝限定