「熱くなる人」ほど目標が達成できなくなる理由
■「熱い人」を引き寄せる
「引き寄せの法則」でしょうか。
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。熱い性格のせいか、これまでに、いろいろな「熱い人」が私に近付いてきました。だからこそ、ありがたいことに、コンサルタントとして15年以上「絶対達成」をスローガンに仕事をしてきて、あらゆる「熱い人」を見ることができたと自負しています。
そして、思うことがあります。それは、「熱い人」にも、いろいろある。ということを。
私が青年海外協力隊の隊員時代に知り合ったスペイン語の研究者は、スペイン語を公用語としている、約20の国と地域ごとに、それぞれのスペイン語の特色を分類できると仰っていました。
私も同様に、長年多くの「熱い人」に接していると、いつの間にか「熱い人」をいろいろなタイプに分類できるようになりました。なぜなら、目標を絶対達成させるうえで、どの時点でどのように自分を熱くすることができるのかが、とても重要なポイントだからです。
■「熱い人」の分類
世の中には、いろいろなタイプの「熱い人」がいます。
生き方が情熱的なのか――。
好きなことに熱狂しているのか――。
熱意のあるプレゼンをしているのか――。
ある物事に熱中しているのか――。
熱心に探求しているのか――。
それともすべてを備えているのか。
私は目標を絶対達成させるコンサルタントです。したがって、どういう「熱い人」がビジネスを通じて目標を達成させるのかを、正しく分類し、解説したいと思います。
そういう点で考えると、自分の意志で、自分を「熱くする」人が、最も理想的な「熱い人」と言えます。
いっぽう、自分の意志とは関係なく「熱くなる」人は、改善余地のある「熱い人」と言えるでしょう。
なぜなら目標を達成させるうえで、最も大事なことは感情のコントロールだからです。
■ 重要なのは感情コントロール
たとえば税理士の資格をとろうと決意した人がいたとします。税理士になって、多くの中小企業の経営相談に乗りたいという熱意をもち、その熱い気持ちを周囲に情熱的に語ったとしましょう。
しかし、仮に、会社に勤めながら、税理士の資格を取得しようとするならば、一般的に3~5年ぐらいはかかると言われます。どんなに熱い気持ちがあろうとも、それだけの長い期間、熱心に勉強しつづけるのは、並大抵の覚悟がなければできません。
ですから、正しく感情をコントロールするスキルが必要なのです。
落ち込んでいるとき、スランプを脱したいとき、自分を奮い立たせるために、自分のハートに火をつける。
誰かを動かしたい、誰かを説得したいとき、熱意を伝えたいために、自分を熱くする。
こういうことが、自在にできることが大事なのです。
■「熱くなる人」は受け身
「熱くする人」と、「熱くなる人」とでは、大きく異なる点があります。能動的か受動的かという点で、分けられるのです。
自分を「熱くする人」は、自分でスイッチを入れて熱くします。たとえば、成績不振の営業を見たら、このように言うことでしょう。
「現在、私たち商品開発部は、4月から新しい素材を使ったプロダクトを開発中です。秋には完成しますから、ぜひ期待していてください」
新商品が売れるかどうかは、営業の動きにかかっています。営業にアピールするため、自分を鼓舞したのです。つまり、自分に対し、能動的に火をつけたということです。
「熱くなる人」は反対です。
そのような営業を見ても「大変ですね」と言うだけです。同僚から、
「おい。商品開発部で、新しいプロダクトを開発中なんだろ。どうなんだ」
と言われてはじめて、
「そうです。期待してほしいです」
と、言います。そして、
「4月からプロジェクトがスタートしたのに、いっこうに新しいプロダクトが完成しないじゃないか」
と指摘されたとき、ヒートアップするのです。火をつけられたからです。
「そんなこと言ったって、簡単にできるもんじゃないですよ」
「時間がかかってもいいけど、本当に売れるんだろうな」
「売れるとは断言できませんが、かなり期待していいと思ってます。みんな全力でやってるんですから」
このように「熱くなる人」は、他人から火をつけられてはじめて「熱い人」になります。
いつも受動的ですから、なかなか継続的行動ができません。1日や2日で終わるようなものならともかく、数ヵ月、数年も期間が必要なプロジェクトであるなら、自在に自分を「熱くする」ことが、どうしても、いろいろなタイミングで必要となってくるものです。
まとめますと、「熱くなる」ときは冷やし、冷めているときは「熱くする」。どんな目標を達成するときであろうが、そんな風に感情のコントロールができるスキルを身につけていきましょう。