台風27号の熱帯低気圧化と持ち込む暖気で気温上昇
台風27号の熱帯低気圧化
北上中の台風27号は、11月23日未明に宮古島付近を通過し、3時に熱帯低気圧に変わりました。
台風27号は、台風が発達する目安とされる海面水温が27度を下回る海域を進んでおり、次第に最大風速が小さくなり、最大風速が秒速17.2メートル未満となって熱帯低気圧に衰弱したのです(図1)。
ただ、衰弱したといっても、台風であったことには変わりがありません。
台風は「腐ってもタイ」です。
台風27号は、東側に強い雨域を持っていましたので、熱帯低気圧の東側にある沖縄本島では強い雨が降っています。
土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水、落雷や竜巻などの激しい突風に注意して下さい。
また、関東の南海上から奄美諸島付近に向かって前線が停滞しており、台風が持ち込む湿った空気によって、前線活動が活発となる可能性があります。
また、この停滞している前線の北側にあたる関東の南海上では、日本の東に中心を持つ高気圧からの南寄りの風と、関東平野からの北寄りの風がぶつかって空気が上昇し、対流活動が活発になっており、熱帯低気圧の接近前から関東地方では雨が降り始めています。
つまり、台風27号は、熱帯低気圧に変わっても、沖縄本島から九州南部、東日本太平洋側では大雨の可能性があります(図2)。
11月22日18時から24日18時までの48時間予想では、関東南部で50ミリ以上(千葉県では100ミリ以上)、九州南部や南西諸島でも50ミリ以上となっています(図3)。
暖候期では珍しくない雨量ですが、雨が少なくなる晩秋としては多い雨量です。
雨の降り方には注意して下さい。
寒気南下のち暖気北上
11月22日は、寒気が南下したことに加え、日照がなかったことから気温が上がらず、関東甲信地方を中心に平年よりかなり気温が低くなりました(図4)。
東京の最高気温は10.8度と12月下旬並みということになるのですが、これは真夜中の0時3分に観測されたもので、日中の気温はこれより大きく下がって7~8度位しかありませんでした。
実質的には、最も寒い時期を下回っていたといえそうです。
しかし、台風27号から変わった熱帯低気圧が日本列島に暖気を持ち込みます。
日本上空約1500メートルの気温予想を見ると、11月24日夜には、東北南部まで12度以上になっています(図5)。
上空約1500メートルで12度ということは、地上気温では20度以上に相当しますので、24~25日は東日本から西日本の広い範囲で、11月末とは思えない暖かさとなります。
ただ、この暖かさは長続きしません。
再び寒気が南下してきます。
寒くなっても平年並み
来週の週明けから南下してくる寒気は、主として北日本までの南下ですが長居をします。
このため、しばらく寒い日が続きます。
図6は東京の最高気温と最低気温の変化を、予報も交えて図示したものです。
最高気温、最低気温共に、11月に入ってからは平年より高い日が続いていましたが、22日に最高気温が大きく下がっています。
そして、25日にかけて大きく上昇し、26日以降は再び大きく下がる予報です。
そして、12月は平年並みの気温の日が続くという予報です。
平年並みと言っても、11月の初めは気温が高い日が続いていましたので、寒く感じられる平年並みです。
図7は、東京の16日先までの天気予報ですが、降水の有無の信頼度が5段階で表示してあります。
12月に入ってからの予報では、降水の有無の信頼度が一番低いEが3日ありますが、2番目に高いBも3日あります。
まだまだ先の予報ですが、12月は太平洋側の地方では晴天の日が続きそうです。
そして、日本海側の地方では曇りや雨または雪の日が続くという、教科書通りの冬になりそうです(図8)。
タイトル画像、図1、図2、図3、図5、図7、図8の出典:ウェザーマップ提供。
図4の出典:気象庁ホームページ。
図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料を元に著者作成。