Yahoo!ニュース

さまざまの考察が飛び交う大河ドラマ『光る君へ』ラストシーン その先はどうなるのかさまざまな解釈 #専門家のまとめ

堀井憲一郎コラムニスト
(提供:アフロ)

大河ドラマ『光る君へ」は一年のあいだ千年前の王朝の物語を見せてくれた。「天皇」のお側にお仕えする人たちのドラマであり、大河ドラマでもっとも天皇とその周辺が描かれた作品であっただろう。最終話は藤原道長(柄本佑)が亡くなり、紫式部(吉高由里子)は旅に出る。平忠常の乱を鎮めるための若武者の姿を見送るシーンで終わる。「嵐が来るわ」というヒロインのセリフはこの先の何を示唆していたのか。どんな解説をしていたかを見てみる。

ココがポイント

大河「光る君へ」で描かれた“道長の死”のその後。摂関政治が終焉を迎え、院政の時代へと突入
出典:東洋経済オンライン 2024/12/29(日)

これがなければ「光る君へ」は傑作になっていた…歴史評論家がどうしても看過できなかった7つの残念シーン
出典:プレジデントオンライン 2024/12/29(日)

ラストのせりふは「最初から決まっていた」 チーフ演出が語る「光る君へ」
出典:産経新聞:産経ニュース

エキスパートの補足・見解

『光る君へ』の最終話ラストシーン「嵐が来るわ……」というまひろ(紫式部)の言葉はやや謎めいていて、いくつかの考察を呼んだ。
「武士の世を予見した」「不穏なラスト」という意見が放送直後は目立ったのだが、ドラマ終了したのは長元元年(1028)であり、そこで嵐を感じようとさすがに「武士の世」の始まりまでは時間がありすぎる。

藤原頼通(渡邊圭祐)はこのあと40年も政権中心にあり摂関政治の頂点を極める。そして次に始まるのは「院政」である。武士の世はその「院政」の先にある。詳しい歴史解説を読むとわかる。

またドラマ制作側が、前もってラストセリフを決めていたことも明かされている。たしかに、前もって考えてそうなセリフであった。正直なところ、きちんと歴史の流れを説明したものではなく、おもわせぶりなセリフだったと言えるのではないか。

ヒロイン紫式部は、その細かい事績が不明のため、そこからいろんな想像を広げたぶんスリリングな展開になったと言えるのだろう。専門家はそれぞれの分野において、ちょっと納得できない箇所が出てくるようである。

いろいろ考えさせる大河ドラマであった。

コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

堀井憲一郎の最近の記事