ソニーのゲーム機 国内で最も売れたのはPS2 二番目は分かる? 世界と異なる日本の売れ方
ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション5」ですが、販売店で普通に目にするようになりました。購入時に「1人1台」の制限はありましたが、予約なしでも希望小売価格で買えるようになっていました。量販店で妻(スマホでパズルゲームを遊ぶライトユーザー)が「プレステ5、普通に売ってる!」と口にして驚いていましたが、似た感想を持つ人は多そうです。
ゲーム総合情報メディア「ファミ通」が毎週発表しているゲーム機の販売数でも、PS5がトップになるのが普通になってきました。まもなく国内の累計販売数が300万台を突破し、最終的にどこまで数字を積み上げるかでしょう。そこでソニーがこれまで発売した各ゲーム機について、国内販売数がどうだったのか。掘り下げてみようと思います。
◇気になる違い
ソニーは自社のゲーム機について、世界出荷数は公開していますが、地域別の出荷数は開示していません。そこで参考になるのが、第三者発表のデータになります。メーカーの公式発表とは異なるものの、実績もあり、データの精度は高いといえるでしょう。
「ファミ通」を発行するKADOKAWA Game Linkageによると、ソニーのゲーム機の国内累計販売数(推計)は以下の通りです(※集計期間は、いずれも発売日から今年の1月29日まで)。
PS 1885万台
PS2 2198万台
PS3 1027万台
PS4 942万台
最も売れたのはPS2ですね。しかし、PS2以降は数字を落としています。PS2からPS3のときに半減。PS4は、数字は落としたものの、踏ん張ったともいえます。
ただし、ソニーが発表している世界出荷数と、前世代機の増減割合を比較すると気づくことがあります。PS2は1億5500万台以上、PS3は8740万台以上、PS4は1億1700万台以上。要するにPS3はPS2と比べて半減に近い一方、PS4はPS3と比べて約25%増でした。しかし、ファミ通の示す日本国内の販売数データは、PS3の急激な減少はおおむね一致するものの、PS4が巻き返すどころか減っています。あくまで参考にすぎませんが、この違いは気になります。
◇携帯ゲーム機 日本市場では好調
ゲーム機でありながら、安いDVD再生機としても人気を博したPS2はともかく、初代PSもよく売れたのがデータにも出ています。ただし、初代PSを上回る国内出荷数を出したゲーム機があります。携帯ゲーム機「PSP」で「ファミ通」の国内販売数では1969万台となります。
ソニーが発表した初代PSの世界出荷数は1億240万台以上で、PSPは7640万台以上。両機の割合を比較すると、PSPは世界市場で、初代PSの4分の3程度は普及したということです。そこから考えると、携帯ゲーム機は日本市場でかなり好調だったことがわかります。もちろん逆に言えば、海外で伸びなかったともいえるのですが。
ちなみに、PSPの後継携帯ゲーム機「PS Vita」ですが、「ファミ通」の国内推定販売数は586万台。PSPの国内推定販売数と比較して、約3分の1に激減しています。
ソニーは、PS Vitaの世界累計出荷数を開示していません。ゲーム業界団体「コンピュータエンターテインメント協会」が発行する「CESAゲーム白書2022」によると1581万台。ただし、この数字は、同協会による推計値という但し書きがあります。正確な数字は不明ですが、PS Vitaの後継となる携帯ゲーム機がない状況が“答え”になっています。
高性能を売りにしたPS Vitaは、発売当初はゲームファンの受けが良く、一時期は品不足になるほどの人気を博したのですが、スマホゲームの勢いに押される形となったわけです。ゲーム機を売るのは大変で、最初の結果がうまく成功に結び付くとは限りません。リスクを背負っているゲームビジネスの難しさを教えてくれるのではないでしょうか。同時に、データだけを見ると、携帯ゲーム機が日本のゲーマーの好みに合う……というのも感じられるところ。海外と異なる日本の特殊性といえるのかもしれません。
◇PS5 PS4の国内出荷数超えられるか
そしてPS5の日本市場に絞って言えば、まずPS4の国内出荷数を超えられるか……ということでしょうか。
ゲーム産業が成長したがゆえに、巨大な海外市場(特に欧米)が最重要という構図は動かないのですが、日本市場の今後の立ち位置を考えると……。PS5は現時点で、世界では順調に普及しています。日本市場でどこまで売り伸ばせるか。日本市場で苦戦すれば、ソニーの欧米重視は当然ながら強化されるでしょう。日本のゲーマーにとって有利にならないのは確実といえそうです。