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数多のリングで結果を残し続ける格闘家・木村ミノルが語るアイデンティティと胸に秘めた言葉

中西正男芸能記者
今の思いを語る木村ミノルさん

 元「K-1」世界王者で、様々なリングに上がり続ける格闘家の木村ミノルさん(29)。3月5日には「KNOCK OUT 2023 SUPER BOUT “BLAZE”」(東京・国立代々木競技場第二体育館)でKNOCK OUT-REDスーパーウェルター級王者のクンタップ・チャロンチャイ選手と対戦します。3歳の時にブラジルから日本へ。その中で見据えた自らのアイデンティティ。そして、胸に秘めた言葉とは。

「愛と光と忍耐」

 3歳の時に家族でブラジルから日本に来ました。

 その頃、ボクシング好きだった父親からおもちゃのサンドバッグを買ってもらったんです。そのうち空手を習い始め、8歳からキックボクシングに通いました。そこからどんどん格闘技にのめり込んでいって、今に至るというのがすごくざっくりしたこれまでの流れです(笑)。

 「K-1甲子園」という高校生の大会で結果を残し、そこからプロを強く意識するようになりました。

 ただ、実際にこの世界に入ると、当たり前なんですけど対戦相手はみんな強い選手ばかりです。それぞれオリジナルの武器も持ってますし、ただ単に戦っても勝てない。相手の良いところを消して、いかにこちらの武器を当てるか。その研究をしないといけない。

 プロの世界なので本当に厳しくはあるんですけど、その厳しさや難しさを「面白い」と感じたんです。練習だけでなく、食事や休養もしっかりしないと勝つことができない。全てを総合的に考えて勝つ。そこに入り込んでいきましたね。

 格闘技というのは、もちろんフィジカルも大切なんですけど、心の力がないと勝てない。そう思っていて、時間がある時には哲学書をよく読んでいるんです。

 中でも、深く心に刺さっているのが実業家の斎藤一人さんの「愛と光と忍耐」という言葉なんです。

 この3つの要素の中で、特に自分が向き合っているのが“光”で、ここの解釈は人それぞれいろいろとあるのかもしれませんけど、自分は“醸し出す空気”みたい捉え方をしています。

 自分の仕事、ミッションとしっかり向き合って結果を出していく。それをしていると放たれる独特のオーラがあると思うんです。これは人前に出る仕事でなくても、例えば、包丁を作る職人さんでも包丁と極限まで向き合うことで、その人からは光が放たれていると思うんです。

 この光を軸に物事を見ると、あらゆる仕事に通じるものが見えてくるというか、ご縁が重なっていろいろな芸人さんともお付き合いをさせてもらうようになったんですけど、自分とは違う職業ながら共通する部分があると感じています。

 特に仲良くさせてもらっているのが「ライセンス」の藤原さんなんですけど、家族ぐるみでお付き合いをする中で、お笑いも、格闘技も本当に共通するところがあるなと。

 藤原さんがおっしゃっていたのが「M-1グランプリ」に出る前は4分間の漫才を頭の中で何回もイメージトレーニングするそうなんです。実際に舞台に出て、ネタをやって、どんな空気になって…ということを緻密に趣味レーションする。そうすることで、実際に舞台に上がった時に焦ることが少なくなると。これは格闘技でもやることですし、何かを突き詰めるということは競技が違っても通じるところがあるんだなと勉強させてもらっています。

アイデンティティ

 先ほどもお話をしたように、僕はブラジルで生まれて日本に来ました。ブラジル人の強いところと日本人の強いところ。両方を持てている。それが本当にありがたいことだと思っています。

 ブラジル人の打たれ強さというか、いつも大らかで陽気でいるところ。日本人の真面目で気遣いができるところ。この二つの心が体の中にあることは大きな武器です。

 フィジカルの部分では日本人より外国人の方が強いと言われますが、僕は心のナチュラルな強さで言うと、日本人は世界トップクラスの強さを持っていると思っているんです。

 そこには格闘技を単なるスポーツとしてやっているのではなく、武道としてとらえている日本特有の感覚があると考えています。僕はスポーツとしてのファイトにおいてはある程度のテクニックを持っているのかもしれませんけど、武道としての心得としてはまだまだ足りないところばかりです。

 その分、まだまだ伸ばせるところがあるとおもっていますし、いろいろなリングで記録と記憶に残る選手を目指したい。それを目指す中で、光も強くなっていくのかなと思っています。

 …ごめんなさい。真面目に話をしすぎましたかね(笑)?でも、本当に自分が思っていることですし、少しでも目指すところに近づけるよう積み重ねを続けていこうと思います。

(撮影・中西正男)

■木村ミノル(きむら・みのる)

1993年9月9日生まれ。ブラジル出身。母が日系ブラジル人、父がイタリア系ブラジル人で3歳の時に来日する。Battle-Box所属。2010年にデビュー戦。多くのリングで経験を重ね、18年にKrushウェルター級王者、20年にK-1 WORLD GPスーパーウェルター級世界王者となる。その後もボクシング、「巌流島」などで活動。3月5日に東京・国立代々木競技場第二体育館で行われる「KNOCK OUT 2023 SUPER BOUT “BLAZE”」でKNOCK OUT-REDスーパーウェルター級王者、クンタップ・チャロンチャイと対戦する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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