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スマホで回答、瞬時に集計して参加者全員に結果を共有可能 リアルタイムアンケートシステムで食品ロス調査

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
リアルタイムアンケートシステム respon(レスポン)(株式会社レスポン撮影)

「アンケート」と聞くと、ちょっと「面倒」というイメージがないだろうか。書く方も時間と手間を使うし、集計する側にとっては、そのあとの作業がとても大変。せっかく回答に協力しても、結果はその場でわからないし、場合によっては非公開の場合もある。

そんな不満を少しでも解消できるのが、リアルタイムアンケートシステム「respon(レスポン)」だ。

もともとは、株式会社レスポンが大学向けに開発したものだが、企業や一般向けにも使われている。

回答する人は、スマートフォンやガラケーを使って回答し、集計はその場で瞬時にできる。集計結果はパソコンを通してその場にいる全員に共有することが可能だ。

respon(レスポン)を使って参加者からアンケートを取り、その集計結果をその場で全員に共有することができる(株式会社レスポン撮影)
respon(レスポン)を使って参加者からアンケートを取り、その集計結果をその場で全員に共有することができる(株式会社レスポン撮影)

買い物の時、棚の奥に手を伸ばして期限表示の新しいものを取ったことがありますか?

筆者は、この「respon(レスポン)」を使って、2017年9月から2018年11月3日までの間に、1,542名にアンケートを取ることができた。

その一つが「買い物をする時、棚の奥に手を伸ばして日付表示の新しいものを買ったことがありますか?」というものだ。

結果として、1,542名中、89%に当たる1,367名が「はい」と回答した。「いいえ」が157名(10%)、「わからない」が18名(1%)。

買い物をする時、棚の奥に手を伸ばして日付表示の新しいものを買ったことがありますか?(筆者グラフ作成)
買い物をする時、棚の奥に手を伸ばして日付表示の新しいものを買ったことがありますか?(筆者グラフ作成)

「同じ値段なら新しいものを取るのは当然」

消費者の言い分として「同じ値段なら、より新しいものを取るのは当然のこと」というのがある。日持ちが5日以内の「消費期限」表示のものであれば、一理ある。

日付の残り具合に応じて価格が自動的に設定されるダイナミックプライシングの仕組みが浸透すれば別だが、同じ値段であれば、日付の新しいものから取っていかれてしまう傾向は全国で起きている。ただ、そうすると、店に古いのが残り、食品ロスが生まれ、廃棄コストをかけて捨てることになる。

見栄をはってしまいがちな質問でも本音で回答しやすい

respon(レスポン)のメリットは、回答や集計の手間が省けるということが1つ。

それに加えて、つい見栄をはって、現実より良く見せようと回答してしまうことが少なくなる。

前述の、「買い物をする時、棚の奥に手を伸ばして日付表示の新しいものを買ったことがありますか?」という質問を、講演会場で、手をあげてもらったりすると、案外、手が上がらなかったりする。聞かれた瞬間、苦笑いする人、隣の人と顔を見合わせて笑う人など、「恥ずかしい」という感情が読み取れる。

一般向けのrespon(レスポン)は、集計結果が出ても、誰が回答したかわからないので、本音で回答しやすい。自由意見などでもたくさん書いてくれる人がいる。

回答者は、あらかじめ準備されたQRコードをスマホやガラケーで読み取るか、アプリを使って回答する(株式会社レスポン撮影)
回答者は、あらかじめ準備されたQRコードをスマホやガラケーで読み取るか、アプリを使って回答する(株式会社レスポン撮影)

飲食業界の食品ロスの現場が赤裸々と語られる

大学から講義の依頼を頂いた折には、このrespon(レスポン)を使って、飲食系バイトの経験の有無や、そこで食べ物を捨てたことがあるかどうか、どのような食べ物をどれくらいの量捨てたか、などについて聞いてみる。すると、ありとあらゆる業態で食品ロスが発生していることがわかる。

このような記事は、多くの人に関心を持って読んで頂ける。

「もうやめて新商品」バイトの女子大生が見たファストフード店の裏側

記事だけでなく、その場にいる参加者も、次々画面に現れる自由意見を食い入るように見ている。

respon(レスポン)を使って、どのような食べ物をどれくらいの量捨てたかをアンケート調査し、自由回答を集計、その場で見てもらう(株式会社レスポン撮影)
respon(レスポン)を使って、どのような食べ物をどれくらいの量捨てたかをアンケート調査し、自由回答を集計、その場で見てもらう(株式会社レスポン撮影)

テレビ番組でも1,500名対象にrespon(レスポン)活用

2018年1月14日放送のNHK Eテレ「バリバラ」でも、respon(レスポン)が活用された。日本財団の 「就労支援フォーラムNIPPON」で、1,500人を対象にアンケートを行い、それをライブで録画し、放送した。

この時のテーマは、企業の障害者雇用について。企業の人事担当者などが回答していた。おもてだって回答しづらい側面があるので、こんな時もrespon(レスポン)は活用できるだろう。企業によっては、社長への提言を新入社員に答えてもらう時に使ったりするようだ。

respon(レスポン)の活用例(株式会社レスポン撮影)
respon(レスポン)の活用例(株式会社レスポン撮影)

食品ロスの分野だけでなく学校・企業・一般などで活用可能

先日は、ファッションブランドのイベントでも使われたそうだ。

respon(レスポン)を体験できるセミナーもある。食品ロスについて調べてみたい方はもちろん、多くの方に関心を持って頂ける事を願っている。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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