サイクロン「ハロルド」南太平洋の国々を直撃 新型コロナで救助遅れ
新型コロナウイルスで非常事態宣言下にある、南太平洋のバヌアツ。現在サイクロン「ハロルド」が、猛威を振るっています。
ただですら強い嵐なので被害が予想されますが、新型コロナウイルスは、すでに様々な形で影響を及ぼしています。
2015年パム以来の最強サイクロン
日本時間6日(月)夜のハロルド(Harold)の中心気圧は924hPa、最大風速は61m/sです。勢力はサイクロンの階級ではもっとも強い「カテゴリー5」、これは「猛烈な台風」に匹敵する強さです。
ハロルドは、2015年にバヌアツの国家史上最悪の被害を出した「パム」以来の勢力となっています。
ハロルドは6日(月)朝バヌアツ最大の島エスピリトゥサント島を直撃しました。イギリス気象局によると、同島にとっては、記録のある50年間でもっとも強い勢力での上陸であったようです。
今後7日(火)にかけて、カテゴリー5のままで、首都ポートビラに最接近する見込みです。
ソーシャル・ディスタンスも一時中止
新型コロナウイルスの影響は様々な形で現れています。
バヌアツでは新型コロナウイルスの感染対策として、人と人との距離を取るソーシャル・ディスタンスや、5人以上の集会禁止などの規制が行われていました。しかしサイクロンの接近を受け、避難が必要になることなどから、数日前から緩和されているようです。
新型コロナで避難中の人々が犠牲
3日(金)、ソロモン島発のフェリー船の乗客28名が、ハロルドによる大波に飲み込まれ命を落としています。この背景には新型コロナウイルスがありました。
命を落とした乗客は、政府のウイルス対策の一環で、首都ホニアラから故郷の村へと避難途中だったそうです。残念なことに、救助ヘリの副操縦士が新型コロナウイルスで隔離中であったことで、救助が遅れたとも伝えられています。亡くなった方々には、心からお悔やみを申し上げます。
新型コロナで救助の遅延も
今ハロルドが直撃をしているバヌアツも、各国の国境封鎖で輸送が滞り、救援物質の調達が遅れるなどの影響が出る恐れがあります。南太平洋のサイクロンシーズンは4月いっぱいまで続くため、今後新たなサイクロンが発生した場合、周辺国も同じような心配を抱えることになります。
念には念を入れて
先週のことですが、「富士山噴火3時間で首都機能停止」というおどろおどろしいニュースが紹介されていました。何もこんな時にそんな話を、と思ってしまったのですが、災害は一つだけとは限りません。
新たな災害が起きる可能性もあると考え、できる限りの準備をしておくことが必要なのかもしれません。