クラウドフレアが発信者情報開示訴訟控訴審で敗訴
「物議を醸している」という表現がぴったり当てはまる米クラウドフレアですが、先日、漫画村に関する発信者情報開示訴訟の控訴審で敗訴し、発信者情報が開示されたとのニュースがありました(参照記事「漫画村問題、クラウドフレアを漫画家が訴えた裁判で逆転勝訴 足掛け4年、”少しでもいい前例になってくれたら”」)。
これは、漫画村に作品を無断掲載されていた漫画家のたまきちひろさんが、クラウドフレアを使用していた発信者の情報を開示を求めた訴訟の控訴審です。ちょっと前にあった、大手出版社が4社がクラウドフレアを著作権侵害の幇助(共同不法行為)で訴えた話とは別の話しです(関連過去記事「クラウドフレアは邪悪なのか?」)。
今回の控訴審の判決文はこちらです(原審の判決文はこちらです)。
原審では、すでに運営者(今さら伏せ字にしてもしょうがいないので書くと星野ロミおよび共犯者)の情報は明らかになっており損害賠償請求等が可能な状況になっているので、改めて発信者情報を開示する必要はないという理由で開示請求が棄却になっていました。それに対して、控訴審では、ちゃんと発信者の住所・氏名も開示せよという判決が下されました(電子メールアドレス、IPアドレス、タイムスタンプについては、既にクラウドフレアが原告に任意開示しています)。
逮捕された漫画村運営者以外にも無断アップロードした人がいる可能性はあるので、ちゃんと情報開示してもらうのは著作権者の当然の権利と言えます。ちょっと原審の判決がおかしかったのではないかという印象です。今回の情報開示によって権利者にどれくらいの利益があったかは不明(住所・氏名が偽りである可能性は十分にあります)ですが、今後、このタイプの訴訟があった場合に、話が迅速に進む可能性が増したという点で意義があるでしょう。