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ノート(102) 新たな刑事告発とその対応 検察側から開示された捜査報告書の内容

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~整理編(12)

勾留58日目

新たな刑事告発

 この日も午後から3時間程度、中村孝検事による聴き取りが行われた。11月に入り、厚労省虚偽証明書事件の捜査や起訴、公判活動に対し、市民団体から特別公務員職権濫用罪による刑事告発があったという。

 最高検がこの罪名で立件、起訴することなどあり得ないものと思われた。ましてや、厚労省事件の当事者の告訴ではなく、第三者による告発にすぎなかった。それでも、最高検としては捜査を尽くす必要があった。

 そこで、これまでの取調べと重複する話ではあったが、厚労省事件に対する内偵捜査の経緯、実行犯である元担当係長を逮捕した前後の状況、その上司である元担当課長を逮捕した前後の状況、収集した証拠の内容などを改めて説明した。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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