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潜水艇タイタン号に起きたことを再現した3D動画、YouTubeで1000万回超再生

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
タイタン号が内側へと崩壊したことを再現した3D動画。出典:AiTELLY

 潜水艇タイタン号沈没事故からまもなく1ヶ月を迎えようとするなか、YouTubeで、タイタン号に起きたことを再現した3Dアニメ動画が7月1日に投稿されてからこれまでに1,000万回超再生されている。この動画を制作したのは、3Dエンジニアリング・アニメーションの制作を専門としているYouTubeチャンネル「AiTelly」。動画ではタイタン号が圧壊されてバラバラになる様子も示されている。

 動画では、タイタン号がどのように破壊されたか、以下のように説明されている。

「インプロージョン(爆縮)は、物体そのものが内側へと崩壊することにより起きる破壊のプロセスだ。タイタン号の場合、インプロージョンは、周囲にある水による非常に高い水圧により、わずか数ミリ秒(ミリ秒は1,000分の1秒のこと)で起きた。タイタニック号がある深度では、水圧は1平方インチあたり約5,600ポンド(約2,500キログラム)で、これは海面の圧力の約400倍だ。潜水艇の表面にその水圧による力が加わり、その力が船体が耐えられる力よりも大きくなると、潜水艦は激しくインプロージョンする」

 また、動画は、なぜ、インプロージョンが起きたかについても説明している。

「既存の技術はスティール、チタニウム、アルミニウムに基づいており、これらの素材で他の潜水艦は圧壊を免れている。しかし、タイタン号には実験的な設計がされている。タイタン号には主にチタニウムやスティールより軽量というアドバンテージを持つカーボン・ファイバーが使用されていた」と言及しつつ、そのカーボン・ファイバーについては、「深海におけるカーボン・ファイバーの特性はまだよくわかっていない。カーボン・ファイバーは突然割れたり、壊れたりしうる」とカーボン・ファイバーを深海で採用することのリスクについても指摘している。

 ちなみに、タイタン号には、乗船していたオーシャンゲート社CEOのストックトン・ラッシュ氏がボーイング社から大幅値引き価格で購入した使用期限切れの航空機用カーボン・ファイバーが使用されていたとも報じられている。もっとも、ボーイング社はタイタン号の製造に関与したことを否定している。

 動画では、タイタン号の構造や母船から出発して潜水していく過程も説明されている。

 構造的には、タイタン号には4つの推進機が設置されていたが、この推進機には問題も起きていた。2022年、タイタン号の撮影を行った英BBCのテレビ番組「ザ・トラベル・ショー」が、推進機に不具合が生じ、前にも後ろにも進むことができず、制御不能になってスピンするしかない状況に陥った潜水艇内の様子を捉えていた。

 ジョイ・スティックでタイタン号がどのように操作されていたかも説明されているが、それはビデオゲームをするのと何ら変わりのないような簡単な操作法に見える。

 先日、米沿岸警備隊がタイタニック号の残骸から1600フィート(約488メートル)の地点で、潜水艇の後ろの部分などタイタン号の主要なパーツを5つ見つけたことを発表したが、動画の最後でも、圧壊されて、5つのパーツにバラバラになったタイタン号が再現されている。

 この動画に対し「ラッシュ氏は不必要なリスクをとったギャンブラーだった」、「ラッシュ氏は明らかに狂っていた」などのコメントがあがっている。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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