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恐るべし! タイタン号運航会社は来年のタイタニック探検ツアーを今もウェブサイトで宣伝中!?

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(提供:OceanGate Expeditions/REX/アフロ)

 これを“恐るべし”と言わずして何と言おう。

 沈没事故により5人の乗船者が亡くなったとされる潜水艇タイタン号を運航しているオーシャンゲート社のウェブサイトを見ると、驚くことに、今もまだ2024年のツアーが宣伝されている。2023年のツアーについては、“現在進行中”と記されている。

 同社CEOのストックトン・ラッシュ氏は亡くなり、事故原因も究明されていない状況にもかかわらず、来年もツアーを進めるつもりなのか?

2024年のタイタニック探検ツアーのスケジュールは、今もオーシャンゲート社のウェブサイトで宣伝されている状況だ。出典:oceangateexpeditions.com
2024年のタイタニック探検ツアーのスケジュールは、今もオーシャンゲート社のウェブサイトで宣伝されている状況だ。出典:oceangateexpeditions.com

 ウェブサイトには、2024年6月12〜20日と6月21〜29日の2つのツアーが、それぞれ1人25万ドルと掲載されており、それには、乗船中の潜水代、宿泊代、トレーニング代、ギア代、食事代を含むと記されている。

 9日にわたるツアーのスケジュールを見ると、潜水は天候によるものの早ければ3日目に開始される予定となっており、「タイタニック号の残骸に辿り着くには約2時間かかるが、あっという間に感じられるだろう」とツアーのエキサイティングさも伝えている。

 今後の探検ツアーに参加するコンテント・エキスパートの1人として、事故で亡くなったとされる元フランス海軍の潜水士のポール=アンリ・ナルジョレ氏の名前も記載されており、同氏がそれまで6回探検ツアーに参加したことや世界中で探検ツアーについて多数講演を行ってきたことも紹介されている。

 このように、今もツアーの宣伝がされている同サイトだが、先週、5人の乗船者が死亡したとされることを受け、ツアーは無期限に取り止められたことも報じられた。業界のエキスパートが米紙ニューヨーク・ポストに対し、「事故後、予定されていた全てのタイタニック探検ツアーは中止にされた」と話している。

 同社ウェブサイトは、事故後、短期間、閉鎖されていたというが、事故前のコンテンツが修正されないまま再開されたものと思われる。しかし、数日前から、多くの米メディアが同社が来年のツアーを今だに宣伝中であることを指摘しているにもかかわらず、この記事の投稿時点(米西海岸標準時7月1日午後2時半過ぎ)でもまだ修正されていない状況だ。

 また、オーシャンゲート社は、22日、ツイッターで乗船していた5人の名前を公表し、死亡したと考えられるとの声明を発表したものの、ウェブサイトの方には事故や乗船者、現状などについて述べているプレス・リリースは1つも掲載されていない。

 世界中の人々が注目し、状況を見守ってきたにもかかわらず、この対応はないのではないか。しかし、呆れるようなこんな対応もまた、同社の非常事態に対する危機対応能力の低さを物語っていると言っていいだろう。

 同社はタイタン号によるツアー以外にも、潜水艇サイクロップス1号によるツアーも行っている。米誌Newsweekは今も同社ウェブサイトで2024年のツアーが宣伝され続けていることについて、「2024年のツアーが行われるのか、また、同社のもう一隻の潜水艇サイクロップス1はタイタニック号の残骸が眠っている深さまでは潜水可能ではないこと(水深500メートルまでしか対応していない)を考えると、どの潜水艇を使うのか不明だ」と疑問を投げかけている。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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