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天才・藤井聡太三冠(19)異次元のスピードで200番勝ち越し! 通算成績246勝46敗

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 各棋戦で勝ち続ける藤井聡太三冠(19)。10月14日放映(5月25日収録)の銀河戦、佐々木勇気七段(27歳)戦でも勝利を収めました。

 その結果、通算成績は246勝46敗(勝率0.8425)となりました。

 藤井三冠の勝数から敗数を引くと200。つまりはちょうど200番勝ち越しということになります。これは現役棋士中、19位の「貯金」数です。

 1位の羽生九段はフルシーズン参戦36年目で、これまでの35年はすべて勝ち越し。今期は6勝11敗と負け越していますが、それでも依然、通算では847番勝ち越しと圧倒的な成績を収めています。

 ところで、ちょっとしたクイズですが、現役棋士の平均勝率、平均勝ち越し数はどれぐらいのものでしょう。

 シンプルに考えるとトータルでは勝数と敗数はプラマイゼロ、勝率の平均もちょうど5割・・・となりそうですが、実はそうではありません。

 公式戦では棋士同士の対局だけではなく、女流棋士、奨励会員、アマチュアとの対局も含まれます。たとえば藤井三冠は過去に女流棋士と1局、奨励会員と2局、アマチュアと2局対戦し、すべて勝っています。その分、棋士全体の勝ち越し数も増えることになります。

 また成績が振るわず負け続けていると、制度的に引退に追い込まれます。

 羽生九段のように800番以上勝ち越すことは可能です(それにしても偉大な記録ですが)。一方、逆に800番以上負け越すことは事実上不可能です。

 200番以上勝ち越している棋士が現在19人いる一方、200番以上負け越している棋士は、現役では1人もいません。棋士になるのも大変ならば、そこで競技生活を続けるのもまた大変、ということでしょう。

 同様に、現役で生涯勝率7割台の棋士はいても、3割台の棋士はいません。

 現役棋士は172人。そのうち2021年10月付の新四段の2人はまだ対局がありません。その2人をのぞいた170人の平均成績は、おおよそ次の通りです。

 405勝330敗(勝率0.550)・・・75番勝ち越し

(※データに若干の誤りがありましたので修正しました)

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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