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マドリーのポジション争いが激化。前線の選手で生き残るのは誰か。

森田泰史スポーツライター
ゴールを喜ぶヴィニシウス(写真:ロイター/アフロ)

今季、レアル・マドリーで、違いを見せているのが19歳のヴィニシウス・ジュニオールだ。彼の活躍によって、前線のポジション争いが激化。ジネディーヌ・ジダン監督は選手起用に関して嬉しい悩みを抱えている。

ヴィニシウスは2018年夏にレアル・マドリーに正式加入した。フラメンゴに移籍金4500万ユーロ(約54億円)を支払い獲得を決めたマドリーだが、ヴィニシウスはユレン・ロペテギ当時監督の構想に含まれず、最初はBチーム相当のカスティージャでプレーを始めた。

しかしながら運命はヴィニシウスに微笑む。ロペテギが成績不振で解任され、カスティージャで指揮を執っていたサンティアゴ・ソラーリ前監督が昇任。ソラーリと「同時昇格」する格好で、ヴィニシウスにトップチームでの出場機会が訪れた。

■上がり始めたギア

キレのあるドリブルと弾けるような笑顔で、ヴィニシウスは瞬く間にマドリディスタの心を掴んだ。

ただ、彼はスロースターターなのかもしれない。2018-19シーズン、2019-20シーズン、共に1月から調子を上げている。昨季、1月6日のリーガ第18節レアル・ソシエダ戦で先発を飾り、それ以降スタメンの座を負傷するまで誰にも譲らなかった。

今季はリーガ第20節セビージャ戦で輝きを放った。途中出場したヴィニシウスは対峙したジュール・クンデを混乱に陥れ、左サイドを活性化。そこまで出場時間763分にとどまっていたが、突如としてギアを上げ始めた。

ヴィニシウスの成長、それは守備の改善だろう。今季、リーガ15試合に出場してボール奪取数は28回。これはすでに昨季の数字(リーガ18試合出場/ボール奪取数31回)を上回るペースである。

■競争は激化

マドリーはエデン・アザールが負傷中だ。ガレス・ベイルは復帰したが、これまで同様に負傷離脱を繰り返す日々を送っている。今季開幕前に移籍騒動があったベイルとの確執を否定し続けるジダン監督だが、彼に対して確固たる信頼がないのは間違いなさそうだ。

ヴィニシウスとのウィングの定位置争いに、ロドリゴ・ゴエス、ルーカス・バスケスが加わる。ルーカス・バスケスが加わる。公式戦6得点と決定力を示すロドリゴ、第一次ジダン政権で最多試合出場選手だったL・バスケス(121試合)と、手強いライバルがいる。

マドリーはコパ・デル・レイ準々決勝でレアル・ソシエダに屈して、ベスト8敗退が決まった。

コパ準々決勝では、その前に行われていたアトレティコ・マドリー戦(リーガ第22節)から大幅に選手を入れ替えた。GKアルフォンソ・アレオラ、マルセロ、ナチョ・フェルナンデス、ハメス・ロドリゲス、ブラヒム・ディアス、ヴィニシウスと異なる7選手がスタメンに組み込まれた。

だがジダン監督はウニオニスタス戦、サラゴサ戦、ソシエダ戦で、実に17選手をピッチに送り出している。エキポB(Bチーム)の強化、選手マネジメントという意味では、指揮官の思惑通りに事は運んでいる。

マドリーのようなビッグクラブで、競争は日常ーー。それを飼い慣らした者だけが、舞台に立つ権利を得る。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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