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元パウンド・フォー・パウンドが元6階級制覇のスター王者との戦いを熱望

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
52歳のジョーンズが48歳のデラホーヤとの対戦を熱望(写真:Shutterstock/アフロ)

 6階級にわたって計11度、世界タイトルを獲得したオスカー・デラホーヤが、3月26日にカムバックをアナウンスした。7月3日にPPVでのファイトを企画中だという。Triller社と交渉中であるようだ。

 それを受け、2020年11月28日にマイク・タイソンとのエキシビションマッチに出場した4階級制覇の元パウンド・フォー・パウンドKING、ロイ・ジョーンズ・ジュニアが、デラホーヤ戦を熱望する。タイソンvs.ジョーンズも、 Triller社によって組まれたため、実現の可能性は低くない。

 現地時間2日、ジョーンズは、トレーナーを務めるアルフィ・スミスに「デラホーヤとやりたいね!」と語った。

 スミスは言う。

 「彼らは階級の違いもあって、対戦したことが無いよね。でも、今こそファンに偉大なるファイトを見せる最高のタイミングだ。お互いにそう感じているよ。

 デラホーヤはボクシング史に刻まれる左フックの名手だし、ロイも同様に左フックで対戦相手を沈めて来た。我々は、どちらのフックがベターかを目にする生きた証人になれる。世界中のファンが、ロイとデラホーヤとの試合を望むさ」

2020年11月28日にタイソンとエキシビションのリングに上がったジョーンズ
2020年11月28日にタイソンとエキシビションのリングに上がったジョーンズ提供:Joe Scarnici/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 スミスの鼻息は荒い。

 「両者の戦いは、ビデオゲーム内でしか行われなかったドリームカードだ。それが現実になれば誰もが胸を躍らせるよね。ロイは今でも毎日トレーニングしている。非常にコンディションが良く、体もキレている。スピードも申し分ないよ」

プロモーターとして第一線で活躍中のデラホーヤだが…
プロモーターとして第一線で活躍中のデラホーヤだが…写真:Shutterstock/アフロ

 ジョーンズはパウンド・フォー・パウンド最強として認められはしたが、観客動員数でもトップという訳ではなかった。

 1994年5月27日、ジョーンズにとって初めて腰に巻いた世界のベルト、IBFミドル級の初防衛戦では、デラホーヤの前座としてリングに上がらねばならなかった。当時のデラホーヤは、WBOスーパーフェザー級王者。彼もまた初防衛戦だった。

 ソウル五輪(1988年)決勝で不可解な判定に泣き、銀メダリストとなったジョーンズは、バルセロナ五輪(1992年)の金メダリストとして颯爽とプロに転向したデラホーヤとの差を嫌でも感じざるを得なかった。その苦い思い出は、パウンド・フォー・パウンド最強となってからも、決して消えはしなかっただろう。

現役時代はボクシング界の中心人物だった
現役時代はボクシング界の中心人物だった写真:ロイター/アフロ

 確かに両者は左フックを得意としていた。デラホーヤ自身も現役時代、ベストパンチは左フックだと私に語った。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20170920-00075786/

 今でなければ実現しないカードであることは確かだ。二人が対峙すれば、そこそこの話題にはなるだろう。しかし、ボクシングという競技に、ゴルフのようなシニアツアーは成立しない。

 昨年のエキシビションでのタイソンも、ジョーンズに対して本気でパンチを振るわなかった。そういった"エキシビション"でなければ、この年齢でリングに上がれる筈もない。

 PPVの売り上げを伸ばすために煽るのも理解できるが、元チャンピオンたちがケガをしないことを祈るばかりだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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