銀河系中心部にある謎天体「G」の正体が遂に解明!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「銀河系中心にある正体不明のG天体の謎が解明」というテーマで動画をお送りしていきます。
銀河系中心部の「S天体」
銀河系の中心部には、太陽の約430万倍もの質量を持つ超大質量のブラックホール「いて座A*」があると考えられています。
いて座A*は強大すぎる重力を持つので、通常は惑星や小天体を周囲で公転させている、太陽やそれより数倍重い恒星すらも軽々とぶん回してしまいます!
いて座A*の近くでぶん回されている恒星はこれまでいくつも見つかっていて、それらにはS1,S10などといった風にS○○と命名されています。
謎の性質を持つ「G天体」
そしてブラックホールの周囲にはS○○と名前が付く単なる恒星以外にも、Gの名前を持つ得体の知れない天体が公転していると考えられています。
G天体は単なる恒星にしては大きく広がっていたため、当初は密集したガスだと考えられていました。
これがいて座にA*に最接近した際には、重力で引き裂かれ、飲み込まれてしまうと予想されていました。
ですがG2はなんと形は変えながらも、塊の状態を維持したまま、引き裂かれることなくブラックホールから遠ざかっていったことがわかっています。
このことからG天体は単なる恒星でも、ガス雲でもない、「星やガスが密集している銀河中心部ならではの何か」であると考えられるようになりました!
上記の想像図ではクリオネのような奇妙な見た目で描かれていますね!
ですがG天体にはもう一つ不可解な点があり、それは周囲の塵と比べて約2倍も高温であるにもかかわらず、いて座A*との距離に関係なく一定の温度を保っていたことです。
このことから、G天体表面の高温の熱源はいて座A*ではなく、G天体の内部にある可能性が高いことがわかりました。
単なる恒星でもガス雲でもなく、内部に恒星のような熱源を持つ天体、なんとも不可解です。
その後もG天体に関する観測は続き、現在ではG1,G2,G3,G4,G5,G6の6つのG天体が発見されています。
G天体の正体が解明される!?
ではこの奇妙なG天体の正体は一体何なのでしょうか?
長らく謎のままでしたが、なんと2021年12月10日とつい先日、ドイツのケルン大学の研究チームによってその正体が解明されたと発表があったので、解説していきたいと思います。
研究チームはG天体の謎を解明するため、G天体の中でもG2に着目し、「SINFONI」と呼ばれる超大型の望遠鏡による過去14年分の観測データを活用し、研究を進めました。
その結果、G2は「生まれたばかりの3つの赤ちゃん恒星」から成ることが判明したそうです!
太陽の年齢は約46億歳ですが、G2を構成する3つの星々の年齢はたったの100万歳で、恒星としてはとてつもなく若い赤ちゃん星です。
この推定が正しければ、いて座A*の周囲で発見された星の中でG2の星々が最も若い星になります。
さらにG2を構成する3つの恒星は若すぎるために、現在もそれらを誕生させたガス雲が周囲にたくさん残っていて、3つの星々全体を包み込んでいるのだそうです。
このようにG2は3つの赤ちゃん星とそれを取り巻くガス雲で構成されているという分析結果が正しいとすれば、G2がいて座A*に最接近した際に引き裂かれることなく再び離れていくことができたことが説明できます。
さらにG2の表面温度がいて座A*との距離にかかわらず非常に高温を維持できていたことも、内部に若く高温な星々が3つも存在することで説明することが可能です。
このようにG2の正体は恒星であり、他のG天体も同様の構造を持っていれば、G天体というグループは通常の恒星であるS2やS10などのように、S天体に分類できるようになるかもしれません。
このように銀河中心部の環境の捉え方が正されるのは、大きな進歩ですね!
今回の関連で、天の川銀河にまつわる最新の大きなニュースを以下の動画で4つまとめて解説しているので、併せてご覧ください!