村上茉愛選手は五輪を反対している人に「見返したい」「思い知ったか」とは言ってない。問題の記事も修正済
東京オリンピックの体操女子個人総合に出場した村上茉愛(まい)選手が試合後のインタビューで、「五輪を反対している人を見返したい。そういう人たちに思い知ったかと思ってもらいたい」と答えたとして批判されています。
本当にそのようなことを言ったのでしょうか?
発端はデイリースポーツの記事
批判が起きる原因となったのは、デイリースポーツが7月30日6時30分に配信した以下の記事です(その後、編集されているためアーカイブにリンクしています)。
この記事では村上茉愛選手が自身のSNSに寄せられた中傷コメントに対しての思いを、次のようにコメントしたと書かれています。
問題となっているのは後半の部分です。
「五輪を反対している人がいるのも知っている。そういう人を見返したいと思って、この1年頑張ってきた。そういう人たちに思い知ったかと思ってもらいたいです」が、そのまま「五輪を反対している人を見返したい。思い知ったか」と受け取られてしまったのです。
もちろんそのように読めてしまうのは仕方がないのですが、デイリースポーツの記事では削られてしまったインタビューの他の部分を読むと印象が異なります(本来ならここでインタビューの書き起こしを行うべきなのですが、このインタビューの動画はネットにアップされていないようなので(見つけられなかった)、べつの記事と参照させて頂きます)。
「誹謗中傷する人たちを見返したい」
東スポWebの記事によると、そもそも一連のコメントは海外メディアから「SNSでの誹謗中傷」と「メンタルヘルス」についてインタビューされたことがきっかけということです。
質問に対して村上茉愛選手は涙を見せながら誹謗中傷について
とコメントしたとのことです。
東スポの記事を読むと、「そういう人を見返したい」、「思い知ったか」は“五輪を反対している人”ではなく“誹謗中傷をしてくる人”に向けて言っていることがわかります。
念のため丁寧に説明すると、「五輪を反対している人がいるのも知っている」の「も」は“SNSで村上茉愛選手を誹謗中傷してくる人”にかかっており、この誹謗中傷してくる人たちに対して「見返したい」、「思い知ったか」とコメントしているというわけです。
実際、東スポの記事を読めば「反対している人も知っているし、もちろん分かるし」と、五輪に反対することについて村上茉愛選手は理解を示しています。彼女は五輪に反対する人を敵対視していません。
騒動後、デイリースポーツは記事を修正
なお、自社の記事が原因で村上茉愛選手に批判が起きていることに気づいたのか、デイリースポーツはその後記事を修正しています。
修正後の記事からは「五輪を反対している人がいるのも知っている」の部分が削られ、全体を通して“誹謗中傷してくる人”についてのコメントとなっています。
繰り返しますが、村上茉愛選手は“五輪に反対している人”に対して「思い知ったか」のコメントを向けていません。彼女はあなたたちの敵ではありません。
誤った内容の記事に基づいて、村上茉愛選手を批判したり、さらには誹謗中傷したりすることはやめましょう。