コロナでバイト禁止 5000円で足りない高校生のこづかい 渡し方を変えるとお金に強い子供が育つ
コロナでバイト禁止の家庭も増える中、5000円のこづかいでは足りないという高校生の声がツイッターで話題に。
子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度によると、高校生のこづかいの最頻値は5000円(平均値5114円)です。中学生の場合は最頻値1000円(平均値2536円)、小学生は低学年と中学年では500円、高学年では1000円が中央値でした。中学生・高校生ともに、7〜8割はおこづかいをもらうに当たって「何の前提条件も
ない」、中学生の1割強・高校生の1割弱は「家の仕事をすることが条件」となっています。
こづかいの使い道としては、友達との外食・軽食代、おやつなどの飲食物、休日に遊びにいくときの交通費、友達へのプレゼント、昼食、家の人へのプレゼント、映画やライブのチケット、文房具、小説や雑誌、まんがなどになります。
おこづかいが不足した経験をみると、「ある」(「よくある」と「ときどきある」の合計)は、小学生低学年・中学年で4割強、小学生高学年で約5割、中学生・高校生で5~6割となっています。足りない時の対応策としては、「次の『おこづかい』までがまんし、節約する」が最も多く、4割前後となっています。高校生のこづかい帳をつける割合は2割未満となります(小学生、中学生の方がつける割合は高め)。
高校生では「自分で使うお金のためにアルバイトをしている(したことがある)」が約2割となっています。特に女子が24%と男子の19.1%を上回ります。女子の方が洋服やコスメなどにお金をかけたいという事情が伺えます。5000円ではなかなか欲しい洋服が買えないのでメルカリなどを利用する高校生も多いようです。
こづかいのあげ方が子どものマネーリテラシーを変える
さて、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の金融リテラシー評価と子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度を比較すると、日本の子どもの金融リテラシーは数学リテラシーや読解力では優位なものの、社会経済文化的背景ではOECD諸国より低いようです。
懸念材料としては「おこづかいをもらうのに何の前提条件もない」割合が日本は突出して高いことです。日本では前述の通り7〜8割ですが、OECD平均では48%(PISA2018)なのです。PISA2018では、前提条件がなくおこづかいをもらう学生は、相対的に金融リテラシースコアが低い傾向にありました。アメリカでは小学生から庭の草取りなどを手伝い代わりにお小遣いをもらうなど労働に対する対価として親からお金をもらうことが多いようです。現在ではインターネットを介して、世界を相手にバイト代を稼ぐ子ども達が海外で現れています。
また、「おつりをもらったら、確認している」割合も日本の学生は低く出ています。同割合は、日本で60%(子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度)、OECD平均で86%(PISA2018)ということ。PISA2018では、「おつりをもらったら、確認している」学生は、金融リテラシースコアが相対的に高いことが分かっています。
また、金融に関する単語を知っている学生が日本では少ないことも懸念材料です。PISA2018の調査では、複利、分散投資、デビットカード、年金制度といった単語を知っている学生は、相対的に金融リテラシースコアが高かったのですが、日本では複利、分散投資、デビットカードについて「聞いたことがない」という学生の割合がOECD平均より高いのです。
つまり、足りなくなったら子どもにお金を与えるのではなく、家の手伝いをする、自宅でもできるアルバイトや仕事などを自ら考えることも必要になりそうです。また、高校生のうちからデビットカード、クレジットカードなどの知識を身につけることは、大学生になってお金を管理する(主に支出)際に優位に立つことができそうです。福利や分散投資に関してもアルバイトや初任給をもらう前から知っておく方がお金を有利に増やしていくことが可能です。公教育の場で日本ではお金のことを学べる機会が非常に少ないです。だからこそ、各家庭でも子どもの金融リテラシーが上がるような工夫が必要になります。その上でおこづかいの上げ方という小さなトピックから見直してみるとよいのかもしれません。
参考記事
金融リテラシーが高い15歳の特徴-PISA「Are Students smart about money?」からわかること