仕事を先送りする人が怒りっぽくなる「5つのステップ」とは?
サクタスとグズタス
さくさくタスクを処理することを私のコンサルティング会社では「サクタス」と呼びます。成功を意味する「サクセス」と似ているし、何より語感がいいので、気に入って使っています。
日ごろから使う言葉は、仕事のパフォーマンスに影響を与えます。さくさく仕事ができないのは、単に感覚的なもの。したがって、感覚的に気持ちが上がる言葉を意識して使っていきましょう。
(※参考記事:超高速で仕事を片付ける「サクタスチーム」のつくり方)
反対に、ぐずぐず言って、タスク処理を先送りにしてばかりいるのは「グズタス」です。
「すぐにやればいいってもんじゃないし」
「そもそもこれって、なぜやる必要があるんだったっけ」
などとぐずぐず考えるのは、「思考ノイズ」が脳のワーキングメモリを占めている証拠。よけいなことにワーキングメモリを使っているため、頭の回転が遅くなります。だからさくさく仕事を処理できなくなるのです。
被害者意識を発生させる5つのステップ
ぐずぐず考えていると、常に思考ノイズが蓄積していきます。放置しておくとノイズとノイズとが化学反応を起こし、さらに大きな「心の摩擦」を引き起こします。
ひどい場合は、「なんで私がこんなことで悩まなくちゃいけないわけ? 絶対に変だ。何かがおかしい」などと被害者意識まで醸成されていってしまいます。
このプロセスは以下のように変遷します。
1)やるべきだ(決意)
2)やらなくても許される(甘え)
3)やらないほうがいい(発見)
4)やるべきではない(確信)
5)なぜやらなくてはならないのか?(怒り)
普通であれば、何らかの仕事を目の前にして「今やるべきだ」と決意します。しかしすぐにやらずに先送りをすると、ゼロであったはずの思考ノイズが突如として出現します。
一般的に、自分の過去の言動は肯定したくなるものです。これを「一貫性の法則」と呼びます。そのため、先送りすればするほど、過去の意思決定を一貫して正当化したくなるという現象が起こります。ノイズがノイズを生む原理は、ここにあるのです。
怒りを生む原理
最初に出てくるノイズは、「今やらなくても許されるだろう」という甘えが原因です。誰かに依頼された仕事なら、少しぐらい遅れても依頼者は許してくれるだろうという甘え。いっぽう自分自身が決意したことだと、簡単に先送りを許してしまいます。依頼者が自分自身であるからです。
「今やらなくても許される」というノイズは、ぬかるんだ泥道に何らかの「種」を撒いたようなものだと考えましょう。さらに「今やらないほうがいい」というノイズに成長すると、その種に「水」を撒いていくことになります。
「今やらないほうがいい」という確信をし続けていると、水を撒き続けることになりますので、種が発芽し、路面に雑草が生えていきます。こうなると、思考ノイズは「今やるべきではない」という確信めいたノイズに成長し、心の摩擦抵抗は一気に増大していきます。路面が雑草だらけになるから、仕事を前に推し進めることがドンドン困難になっていきます。
ヒドイ場合は、路面に生えた雑草が草木にまで成長し、「今なぜやらなくてはならないのか?」という怒りまで誘発させます。
月日が経過すると、「今やらなくても許される」「今やらないほうがいい」「今やるべきではない」「今なぜやらなくてはならないのか?」といった表現から「今」が取り除かれ、「やらなくても許される」 → 「やらないほうがいい」 → 「やるべきではない」 → 「なぜやらなくてはならないのか?」とノイズが極大化していきます。
こうなると「今やらない」から、「今」がなくなり、やるべきこと自体を「やらない」という決断に姿かたちを変えます。「いつかはやる」という状態から「いつまで経とうがやらない」という決断ですから、最悪の結末と言えるでしょう。
私どものコンサルティング会社のスローガンは「考えずに行動して、考えて結果を出す」です。仮説の精度は、行動し、体験しない限り上がっていきません。
処理すべきタスクがあるなら、さくさく片付けていくことです。ぐずぐずやっているだけで、元来なかった「怒りの感情」が自分を苦しめることになるのですから、気を付けたいですね。