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「曜日感覚」が狂う? テレワークで発覚した「仕事の生産性が悪くなる人」の特徴

横山信弘経営コラムニスト
あれ? 今日って何曜日だっけ?(写真:アフロ)

■テレワークしていると「曜日感覚」が狂う?

「曜日感覚が狂いますよね」

と、ある社長からメッセージが入った。

「土曜日なのに、朝から全力で仕事してた」

というこの社長の気持ち、私もよくわかる。

月曜日なのか、火曜日なのか、水曜日なのか、木曜日なのか、金曜日なのか。

毎日ちゃんと確認しないと今日が何曜日なのか、よくわからなくなるときがある。我が家はそうだ。一斉休校の影響で、中学生、高校生、子どもたち2人ともずっと家にいるからだ。

さらに火曜日とか、水曜日が祝日だったりすると、ますますよくわからなくなる。

朝起きて身なりを整え、どっちが洗面所を先に使うか子どもたちと争い、「時間がないぞ、はやく食べろ」「お父さん、ハンカチ持った?」「何をもたもたしてるんだ、お父さんが弁当包んでやるよ」と言いながらバタバタと家を出る――。

良くも悪くも、そういう当たり前の日常がなくなった。そのせいで、リズムが狂うのだ。

毎日決められたルーティンワークをしている人ならともかく、経営者であったり、フリーランスで働いてる人など、自由度の高い仕事をしている人は、かなり意識して自分を律しないと、曜日感覚というか、「前後の感覚」と表現したらいいのか。従来の仕事に対する感覚がわからなくなる。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。

経営目標を達成させるためには、時間単位で仕事をすべきではない。プロジェクトやタスク単位で仕事の管理をすべきだ。そうしないと、一所懸命にやっている割には、なぜか期限までに仕事が終わらないという感覚を覚える。

「前後の感覚」がわからないという事は、今自分自身がプロジェクトの工程において、まるで大海原で方向感覚がなくなった船のように、どの位置にいるのかがわからない、ということだ。

前後の感覚がわからなくなると、寄り道をしたり、本来はやるべきではないような、でも気になっているタスクを見つけて、それをやるようになったりする。

どこかで「方向感覚」「前後感覚」を取り戻さなければ、正しい感覚を取り戻すことなく、さまよい続けることになる。

私はそれに気づき、早急に手を打った。

■「電子メール」が普及しはじめたころ

緊急事態宣言が発令され、多くの企業でテレワークが導入された。そして一か月以上が経過し、テレワークによって仕事の生産性が上がったのか下がったのか、各社が調査し公表しているが、意外にも結果はバラバラだ。

テレワークによって生産性が落ちた人と、生産性が上がった人と、どちらが多いのか。調査対象となった企業や時期によって異なる。

どの結果を参考にするかは人それぞれだが、筆者なりの感覚を披露する。

多様な働き方を受け入れるという「働き方改革時代」が昨年4月からスタートしているのだから、たとえ

「どうも当社には、テレワークは合っていないようだ」

と結論付けても、全員オフィス勤務に戻すようなことがあってはならない。

電子メールが普及したときもそうだった。

「何が電子メールだ! 電話で連絡したほうがはやいわ!」

と言いつづけた役職者は日本中、どの企業にもいた。

しかしご存じのとおり、コミュニケーション手段としての「電子メール」は普及した。最初は要領がつかめなかった人たちも、次第に順応していったのだ。

■残念感が大きいテレワークに対する意識とは?

いろいろなクライアント企業と接点を持ち、そして得た現場における生の声からすれば、テレワーク特有の仕事のやり方にすぐ順応できた人は生産性を上げ、順応できない人は生産性を下げた。筆者はそう受け止めている。

当たり前の結果、といえば当たり前だろう。

そして順応すべきは仕事の中身ではなく、ほとんどのケースにおいて「意識」だ。テレワークに限らず、環境変化に対して柔軟に適応できる組織かどうか。それが問われている、と言えよう。

組織改革できない企業の経営者ほど、

「うちの業界は特殊ですから」

「とくにわが社は特殊ですしね」

といった、痛々しい「できない言い訳」を口にする。テレワークに対する考えも同じだ。

「うちのような業界でテレワークは難しいと思いますよ」

「とくに当社のような業務スタイルでは、テレワークは無理でしょうねえ」

と感覚だけで言う。これを経営者や中間管理職が口にすると、残念感がきわめて大きい。

■本質的な問題に蓋をするな!

つまり、テレワークに関する現状をまとめると、こうだ。

・リアルでも変化に対応できる人・組織は、テレワークでも仕事の生産性を上げられる

・リアルでも変化に対応できない人・組織は、テレワークでも仕事の生産性を上げられない

リアルではそれほど顕在化しなかった問題が、テレワークがスタートしてから、たちどころに表面化したというケースは多く、それを理由に、

「テレワークなんてやめてしまえ」

という人がいるのであれば、本質的な問題に蓋をする行為といえよう。

今回の本題に戻ると、日ごろから自由な感じで、つまり場当たり的に仕事をしている人は、曜日感覚、前後感覚などが失われ、すぐに迷子になってしまうということだ。

だからテレワークの時は、必ず仕事の全体像を俯瞰してプロジェクトとタスクを分解し、細かい行動計画を作るべきだ。

私もすぐに実践した。迷子になりかけたからだ。

気を付けるべきポイントは、オフィス勤務をしているときよりも、さらに細かくタスク分解すること。

計画性がなく、段取り技術が物足りない人は、マネジメント能力がある人にサポートを受けたほうがいい。自己マネジメント能力が低いと自覚することからはじめることだ。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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