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現在の隆盛の礎を築いたのは古びた一軒の豚骨ラーメン店《福岡発の国内外88店舗の一大ラーメンチェーン》

RAMEN ANTENNAラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺
ラーメンにきくらげトッピング

創業は1960年(昭和35年)まで遡る。改めて公式サイトの沿革を見直すと、創業年から1993年(平成5年)の〈一蘭 那の川店〉の開業までの33年間が空白になっているものの今年65年目という歴史ある老舗店であることは間違いない事実。(いろんな角度から諸説あるのかもしれないが)以前は一般的に語られていたこともあるので当時の記述や記憶を辿ってみると、1960年(昭和35年)に福岡県福岡市にて創業。その後、福岡県小郡市へ移転し「一蘭」という屋号に改名。日本初の「唐辛子入り秘伝のたれ」が考案され、人気のお店となる。その後は日本ではじめてとされる「会員制のラーメン店」を経て、現在の〈一蘭〉の体制へ移行。

2年前の一蘭本社総本店の外観(2023年1月1日AM7:00撮影)
2年前の一蘭本社総本店の外観(2023年1月1日AM7:00撮影)

「一蘭発祥の店」としての那の川店の存在感

その歴史の流れは、福岡県福岡市南区の〈一蘭 那の川店〉へと移り、画期的な「記入オーダーシステム」や「味集中カウンター(博多駅店で初採用された)」という、現在の〈一蘭〉の礎を築いたシステムやアイデアが生まれたことから、この那の川店を「一蘭発祥の店」というようになった。そして現在、国内外に88店舗を展開している誰もが知る一大ラーメンチェーンとして隆盛を誇っている。

一蘭 那の川店の外観(2025年1月1日PM5:00撮影)
一蘭 那の川店の外観(2025年1月1日PM5:00撮影)

福岡県福岡市南区の「那の川」に1993年〈一蘭 那の川店〉が開業した当時のことを、うっすらではあるけれど(自宅が近かったこともあり)今も覚えている。小さな飲食店やお弁当屋さんが軒を連ねた古びた建物の一角にあった一軒屋。赤いテント地に「一蘭」の大きな文字が目立った。一蘭の開業まもない頃のこと。仕事を終え、大名界隈での飲み会のシメにタクシーを飛ばして仕事仲間と訪れたのが最初の記憶だ。

一蘭 那の川店の外観(2025年1月1日PM5:00撮影)
一蘭 那の川店の外観(2025年1月1日PM5:00撮影)

当時、ピリ辛のラーメンが食べられるお店で、以前は小郡の「会員制」のラーメン店だったと噂になり、みんなでシメに行ってみようということになった。店内に入ると目の前に掛かる「赤い暖簾」が室内にある屋台のような不思議な印象の空間だった。まだ当時は席と席を仕切る板はなくオーダー表に記入するシステムがよく分からずドキドキしながら同僚の真似をして丸をつけた記憶がある。細かな記憶は曖昧だけど、とにかくビックリするほどのインパクトと美味しさだったことは鮮明に覚えている。

この当時のご記憶のある方なら、現在の〈一蘭〉が全国区であり、福岡の地では観光資源として機能している部分が高いのは間違いないにせよ、味も含めて「福岡発祥の地元のラーメン屋さん」だったという事実を肌感覚としてお分かりだろうと思う。

開業当初の「一蘭」は飲食店が軒を連ねた古びた建物の中の1軒だった
開業当初の「一蘭」は飲食店が軒を連ねた古びた建物の中の1軒だった

その後、1995年に福岡市の中心地「天神」のファッションビル「天神ビブレ」の斜向かいに「天神1丁目店(現:天神店)」が開業。その頃は、職場からも近かったこともあり一番ハマった時期は月〜金の週5で通ったこともあった。さらにその後「博多駅サンプラザ地下街店(現:博多店)」や「中州川端上店(現:一蘭本社総本店)」ができたあたりからは、一日中行列が絶えないことも多くなり「キャナルシティ博多店」も含め、どうしても食べたい時にはどちらかの場所へ、時間を遅らせるなどして、さまよい歩き回った記憶もある。

地下鉄「中洲川端駅」のそばにある一蘭本社総本店(2023年1月1日AM7:00撮影)
地下鉄「中洲川端駅」のそばにある一蘭本社総本店(2023年1月1日AM7:00撮影)

そんな感じで天神・中洲・博多駅・住吉と、利便性の高い場所に席数の多い最新の店舗で、同様の味の豚骨ラーメンをいただけるようになった結果、当時は小箱だった〈那の川店〉へ行く機会はめっきり減っていった。

観光客も多いが、地元の人も訪れやすい「那の川店」
観光客も多いが、地元の人も訪れやすい「那の川店」

それが2008年の〈那の川店〉の建て替えにともなう全面リニューアル後は、他のお店よりも郊外にあるためか、意外とお客さんが少ない時間帯もあり、深夜や早朝といった時間はもちろん(自宅からだと車で訪れやすい程よい距離だったこともあり)休日の朝早くに訪れることもあり〈一蘭〉を再開。以前ほどではないが今も年に何度かは切れることなく訪れている。

年中無休の一蘭らしく「年初めのラーメン」

この日、訪れたのはつい先日の正月初日(2025年1月1日)。お昼からおせち料理をつまみながらビールを飲んだ正月の夕方。ひと眠りした後、小腹が空いたので新年最初のラーメンを啜りに行こうと思案。正月初日から開いているお店はいくつかあれど、夕方の16時過ぎという時間だったため開いているお店は少なく、しかもやや酔っ払っているので歩いても行ける距離のお店を選抜。当初は「キャナルシティ博多店」へ行くつもりで行動開始。しかし途中で正月の夕方だとしても「キャナルシティ博多店」は待ちの客が多く大行列の可能性もあると判断し〈一蘭 那の川店〉へ軌道修正。17時過ぎに現地に到着した。

昼間は店外まで人が行列であふれているお店ながら、券売機前に3名の先客のみ。その後ろに並び順番が来たので最上段の「ラーメン980円(千円を超えてない!)」と「きくらげ130円」を選択し発券。

最近の物価高騰の影響もあり、あれだけ長い間、一蘭のラーメンは高い高いと言われ続けてきた価格が未だに千円以下という事実に驚きを隠せない。今では「ラーメン1杯が千円を超えるお店」もたくさん出てきているので、この事実にはちょっと考えさせられてしまう。

メニューの内容・構成は豚骨ラーメン専門店らしく至ってシンプル。ラーメン(ラーメン・ラーメン+替玉)、替玉(替玉・半替玉)、ごはん(ごはん・小ごはん)、トッピング類(追加チャーシュー・半熟塩ゆでたまご・追加ねぎ・きくらげ・のり)、煮こみ焼豚皿、抹茶杏仁豆腐、ドリンク類というラインナップになっている。

店内に入る前に入口の上段にある空席確認用の表示をチェック。1席のみ青いランプが点いているのを確認し、店内カウンター席の奥から3番目に腰を下ろした。オーダー表に記入しているとスタッフの方が案内に来られたので以下のように記載して慌てて提出。

待つことしばしで配膳された一蘭の「ラーメン」は、お馴染みの一蘭らしいキレイな見た目の盛り付けに「きくらげ」を自らトッピングして大満足。

写真を撮る時、器の真ん中に「秘伝のたれ」が『一輪の蘭の花のように』盛り付けられているので麺リフトに苦労するけれど、それでもラーメンの美味しさは筆舌に尽くし難い。

久しぶりだったため、予定にはなかった「替玉」用の現金210円を用意し、思わず「注文ボタン」を押してチャルメラを鳴らし、待つこと少々。

自家製のもっちりとした独特な食感の福岡・博多らしい細ストレート麺に、あらかじめ振り掛けられたカエシ(ラーメンだれ)の入った「替玉」が暖簾が上がって登場。シメの替玉までして〈一蘭〉を堪能。

とても美味しくいただきました。食べ終えて席を立ち、元の入口から外へ出ると5〜6人の行列ができていた。行列も店内も、お正月ということもあり外国の方々よりも、帰省中のご家族連れやグループの方がかなり多い印象だった。

最後に余談ですが、先日〈一蘭〉唯一の「和風とんこつ」を提供している「キャナルシティ博多店」に行くため、平日の夕方頃寄ってみたのはいいけれど、あまりの行列の長さに当分無理だと悟ったので、今回はいつも利用している〈一蘭 那の川店〉へ寄らせていただきました。いつか「和風とんこつ」も食べてみたいです。

また「和風とんこつ」はいつになったら食べられるのだろうかと思う反面、お時間に余裕のない方は、時間をズラせば比較的寄りやすい、一蘭発祥の店〈那の川店〉がおすすめです。

一蘭 那の川店

住所  :福岡県福岡市南区那の川2-2-10[地図
営業時間:10時00分〜翌05時00分(L.O.04時45分)
店休日 :なし ※要確認
駐車場 :近隣に専用駐車場あり(10台)

要確認 :一蘭(※公式インスタグラム)

ラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

福岡の片隅で日常食としてのラーメンを啜り続け、日々頭の中でグルグルとラーメンが廻っています。一日一麺、週間9麺、毎年450麺ほどを食べています。福岡の地元民が日々食べているラーメンをできるだけ多くの方に知っていただきたいという想いから肩肘張らない感度緩めな『ラーメンアンテナ』をお届けしています。少しでも福岡での麺活の参考になれば幸いです。〈 Horii Koji 〉

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