日本スーパーフライ級タイトル空位決定戦に挑む5戦全勝4KOの同級2位
5戦全勝4KOで日本スーパーフライ級2位にランクされる26歳の高山涼深(たかやますずみ)が、来る13日に、日本同級王座空位決定戦に出場する。対戦相手は1位の川浦龍生(29)。
初の日本タイトルマッチに向け、高山がこなしたスパーリングの数は88ラウンド。川浦がサウスポーということもあり、同門の先輩である谷口将隆の胸を借りて調整を続けた。88ラウンドのおよそ半分は、前WBOミニマム級チャンピオンの谷口がパートナーを務めた。
「谷口さんは強いし、巧いです。体の使い方、位置取り等、真似しています。アマチュア時代に川浦選手と対戦しているので、懐への入り方やポジショニングなど、多くのアドバイスを頂きました」
高山の伯父(父の兄)は、日本ジュニアライト(現スーパーフェザー)、OPBF東洋太平洋フェザー級、同ライト級王座に就いた渡辺雄二だ。幼い頃は父に連れられ試合会場で、物心がついた頃からはYouTubeでその戦いぶりを目にした。
小学1年から中学2年の秋までサッカーに力を入れていた高山だが、指導者と衝突し「ボクシングで有名になって見返してやる!」と、伯父が後進を指導していた斉田ボクシングジムの門を叩く。
渡辺雄二は「やるからには俺を超えろよ」と受け入れた。中学3年次に駿台高校やワタナベジムで練習する機会があり、現在も高山のトレーナーを務める小口忠寛と出会う。そして、小口の勧めで駿台高校に入学し、ボクシング部員となった。
「入学直後から焦りを感じました。同級生は、小学生時代からボクシングをやっているヤツとか、部活と並行してプロのジムに通っているようなタイプばかりで、こりゃあ置いていかれるな、と。
自分も負ける訳にいかないと、駿台での練習後にワタナベジムにも通いました。内山高志さん、河野公平さん、田口良一さんと3人も世界チャンピオンがいて、物凄く刺激になりましたね。高校時代は本当にボクシング漬けでした」
高校1年生でインターハイに出場し、ベスト16。この時、小口と共に世界チャンプだった内山がインターハイの会場まで観戦にやって来た。
「内山さんは、僕が負けた試合を見て『プロだったら、お前の勝ちだったぞ。とりあえず頑張れ』と声を掛けてくれました。その2年後だったかな、ジムで同じ時間帯に練習していたら『高山!』って呼ばれて、『パンチンググローブいるか?』ってプレゼントしてくださったんです。名前を憶えて頂けただけで感動ものなのに、気に掛けてくださり、恥ずかしいキャリアでは終われないぞと思いました。
高校卒業後に即、プロに転向するつもりだったのですが、法政大から推薦の話がきて、G-MARCHの一つじゃないですか。母に『行った方がいい』と諭されました。また、ボクシングの経験も積めると進学することにしたんです。法学部法律学科で必死に単位を取りましたね。真面目に授業に出ましたよ。それでも、1科目、2単位だけどうしても足りなくて、5年通うことになってしまったんです(笑)」
大学4年次の10月末日にアマチュアとしてのラストマッチを戦い、1月31日にB級でプロテストに合格。翌2月26日に3回KO勝ちでプロのデビュー戦を飾った。3戦目でユースタイトルを獲得するも、コロナ禍で、組まれた試合が3度もキャンセルとなる。その後、高山自身も右足第5中足骨を骨折するなど、ケガに苦しんだ。2019年10月19日から、2021年7月21日までブランクを作る。今回も、2021年10月30日以来のファイトである。
高山は言った。
「辛い時期もありましたが、乗り越えました。川浦選手は距離の取り方とカウンターが上手いです。それを封じるための練習を重ねてきました。何もさせずに倒しますよ!」
小口も自信たっぷりに話した。
「練習量は間違いなくこちらが上ですし、涼深の持ち味は馬力。勝つためのメニューをこなしましたし、必ず結果を出します」
そして、谷口も語った。
「涼深の良さは攻撃力です。僕とのスパーも、少しでも下がるとガンガン打ってきます。川浦選手はカウンターの名手ですが、喰らわずに涼深がKOで勝つでしょう」
6月13日、後楽園ホールで高山涼深はどんな戦いを見せるか。