中谷選手がランニングホームラン!/ ドラフト2位の坂本選手、公式戦初出場《阪神ファーム》
ゴールデンウィークに入る前から、阪神甲子園球場はヤングタイガースの奮闘に沸いています。4月27日は、支配下選手に復帰した原口文仁選手が、その日に1軍昇格というビッグサプライズ!そこから初マスクに初安打で、翌日は初打点の犠飛、さらに3日目はスタメンマスクをかぶって同級生の岩貞投手をリード。これまた同級生の陽川選手がプロ第1号を放って勝利を呼び込みました。
岩貞、陽川の同期コンビによるお立ち台に沸いたのが連休初日ですね。いや~陽川選手が大きな声でインタビューに答えていてビックリ!普段は記者に囲まれた時に声が小さくて聞き取れないから大変で、現にお立ち台直後の囲み取材でも記者陣は耳を伸ばして(いるかと思うくらい)必死だったんですよ。やったらできるんですねえ。「最高で~す!」を、次は平地でもお願いします。
そして、きのう30日に原口選手は藤川投手ともバッテリーを組みました。わずか3日ですっかり名前を覚えてもらえたかも。本人の思惑通り『82 YAMADA』のユニホームが一役買ったはずですよ。それにしても何だか、“とっても鳴尾浜なスタメン” が続いています。きょう1日は板山選手が初ヒットとなるタイムリーを放ちました!小虎ファンの皆さまも連日、ワクワクしていらっしゃるでしょう。
そのため、小虎と呼んでは失礼な顔ぶれもファームの試合では並んでしまうわけで。でも中堅どころの選手たちも必死のパッチで頑張っていますよ!このゴールデンウィークは29日から神戸サブでオリックス3連戦、3日からは甲子園で広島3連戦です。きょうは29日と30日に行われたウエスタン・オリックス戦緒結果を合わせて書かせていただきました。まず29日、へイグ選手と中谷選手に1号ホームランが出た試合です。
【6回の本塁打2本で決着!】
《ウエスタン公式戦》4月29日
オリックス-阪神 6回戦 (神戸第二)
阪神 010 013 000 = 5
オリ 000 001 200 = 3
◆バッテリー
【阪神】横山-○守屋(2勝)-福原-青柳-山本-田面-S筒井(1勝1S) / 梅野
【オリ】●海田(4敗)(6回)-角屋(1回)-小松(1回)-大山(1回) / 若月
◆本塁打 へイグ1号ソロ、中谷1号2ラン(海田)、鈴木昂1号ソロ(青柳)
◆三塁打 中谷
◆二塁打 奥浪、ブランコ、園部
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]中:俊介 (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .338
2]左:緒方 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .279
3]三:へイグ (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .250
〃遊:植田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .111
4]二:上本 (4-2-0 / 1-0 / 1 / 0) .283
5]捕:梅野 (4-2-0 / 1-0 / 1 / 0) .234
6]右:中谷 (4-2-2 / 1-0 / 0 / 0) .264
7]指:鶴岡 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222
〃打指:柴田 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .192
8]遊:森越 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 2) .192
〃遊三:坂 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .174
9]一:荒木 (3-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .167
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
横山 3回 32球 (3-1-0 / 0-0 / 3.38) 143
守屋 2回 28球 (1-2-0 / 0-0 / 1.80) 142
福原 1回 21球 (3-0-0 / 1-1 / 9.00) 139
青柳 1回 30球 (3-1-1 / 2-1 / 3.93) 139
山本 0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 1.23) ―
田面 0.2回 9球 (0-0-0 / 0-0 / 7.00) 144
筒井 1回 31球 (1-1-2 / 0-0 / 4.22) 143
<試合経過>
阪神は2回、上本と梅野が連打し、中谷の遊ゴロ併殺の間に1点先制。5回には先頭の中谷が左越え三塁打を放ち、1死一、三塁となったあと荒木が中犠飛。そして6回、1死からヘイグが1号ソロ、梅野の左前打や盗塁などで1死二塁とし、中谷の打球はレフトオーバー!これでがランニングホームランとなって2点追加。
一方、先発・横山はヒットや味方のエラーがあったものの3回を0点に抑え、次も守屋も2回を無失点。6回は福原が登板して奥浪とブランコの連続二塁打で1点を失う。ついで青柳が7回、先頭の鈴木昂にソロ、大城の右前打などで1死二塁となり、園部のタイムリー二塁打で2失点。山本、田面で1イニングを3人で片づけ、9回は筒井が1安打2四球で2死満塁のピンチを作りながら反撃を断った。
横山の次回登板は1軍?
横山投手は、立ち上がりからリズムよく投げていたようですね、と話を振られ「3イニングの中で課題もあるし、いろいろ出た。ずっと1軍を経験している梅野さんなので、いろいろ言われました。そこはしっかりやっていきたい」と答えました。課題とは?「ピンチの時に初球がちょっと逆球で…。奥浪に三塁線へ打たれた。初球はボールでいいくらい、コースへいくならキッチリ投げないと。腕を振ったつもりが引っかけて中へ入ってしまった」
3回2死一、三塁で迎えた4番・奥浪選手への初球のことでしょう。ファウルでしたし、結果はカウント1-1からの3球目で右邪飛(中谷選手の素晴らしいスライディングキャッチ!)に打ち取っていますが、横山投手いわく「あれはちょっと危なかった」と振り返る初球の入りだったようです。「状態はよくなってきて、ブルペンでもできてきました。そこは試合で出していきたい」
1軍については「常に目標にしてやっていて、(ファームは)そこで投げるための場所だと思っているんで。常に見ていますし、上がれたらいいピッチングをするためにどうしたらいいかを考えています」と横山投手。ようやくここまで来ましたね。「リハビリは長かったですけど、実戦で投げるところまで来られた。しっかり継続して、技術も固めていければ!」。言葉尻にも一層力がこもってきたように感じます。
なお久保投手コーチは、3回3安打無失点で交代した点を「最初から3回の予定」と説明。とはいえ、1軍先発枠を埋める可能性も十分に感じられるイニング数ですね。投球内容を振り返って、久保コーチは「だいぶ進んできましたよ。グッと力を入れた時に、自分のボールを投げられている。だいぶいくようになった」と話しています。
青柳「知っている人に打たれた…」
浮かない表情で引き揚げてきた青柳投手にも聞きました。こんな日も取材して申し訳ない。「梅野さんが外の真っすぐを要求しているのに打ちに入ってしまって。ずっと抜けているんです。この前の関メディ戦(27日)でも。それが直せていない。体が開いていると僕は思っているけど、久保コーチには『回りきれなくて手で投げているから』と言われました。きょうはVTRを見て、ちゃんとフォームチャックをやんないといけませんね」
それから「知っている人に打たれたのが悔しい」と青柳投手は言います。先頭で1号ソロを打った鈴木昂平選手は、同じルーキーですが社会人からなので年は2つ上。「東海大で4年の時に、僕は(帝京大)2年でした。何度も対戦しているんですけど、大学の時はあまり打たれていなかったんじゃないかなあ。オリックスで唯一知っている人ですよ。その人に打たれた」。よほど悔しかったんでしょう。このお返しは1軍の交流戦で!
山本投手は8回に登板。小島選手を変化球で二直に仕留め、田面投手と交代しました。「ヒジも治ってまったく痛くないので、それだけに投げたいですねえ、もっと」。確かに2球で終わっちゃったんですもんね。「左はずっと抑えていますよ。ワンポイントだから失投できないとわかっていて、その中で投げられたのもあるし」。翌30日も7回、金田投手が2死から連打されたピンチに登板し、今度は堤選手を7球で三ゴロに打ち取りました。
30日は最速140キロが出ていて「練習メニューで体幹をここ数日やっていて、自然と力が乗ったのかなと思います。肩の張りもないですし」とのこと。連投もこなし、ヒジは大丈夫だとアピールもできた山本投手。まず中継ぎで結果を出して、ゆくゆくは先発で使ってもらえたらという思いはあるでしょう。昨年のように、どんなタイミングでその役目が回ってくるかわかりませんからね。
小学生以来のランニングホームラン!
三塁打とランニングホームランの中谷選手。27日の交流試合・関メディ戦(鳴尾浜)で3打席連続ホームランを放つなど、彼らしい打撃が出始めました。掛布監督が「一からやろう」と決めて遠征中も鳴尾浜に残し、そうやって打ち込んだ成果が表れてきたのでしょう。「今はいい感じで出来ているので、これを維持してやっていきたいです」。調子が戻ってきたねと言うと「よかったです!」と笑顔がこぼれました。。
ただし掛布監督は「徐々に上がってきていると思うので、そんな焦らずに時間をかけて。高山や横田に取って代われる?まだ1軍へ行けるレベルじゃないよ。いい時と悪い時の差が激しすぎるね。もうちょっと時間をかけてもいいかな」と現状を話しています。でも、いつか必ず呼ばれるはず。巻き返しを期待していますよ。
ところでランニングホームランって?「初めてです」。プロ入り前は?「小学生のころはありますよ」。ですよね~。一生懸命走っている将大少年の姿は安易に想像できます。これが今季公式戦1号。昨年も同じ時期、4月28日のオリックス戦(鳴尾浜)で1号3ラン、2号3ランを2打席連続で井川投手から放ち「1試合で2本打つことも人生初!」と話していましたっけ。
また3回に中前打、7回に左前打の俊介選手は、マルチですねと言ったら、なぜか口を尖がらせました。え、なんで…。「3本打ちたかったのに~」。あ、それは失礼。「2本しか打ってない。なーんて(笑)」。冗談だったみたいです。
【ドラ2・坂本が公式戦デビュー】
《ウエスタン公式戦》4月30日
オリックス-阪神 7回戦 (神戸第二)
阪神 300 300 000 = 6
オリ 001 100 000 = 2
◆バッテリー
【阪神】○秋山(2勝)-金田-山本-桑原-鶴 / 坂本
【オリ】●鈴木優(3敗3敗)(5回)-比嘉(1回)-赤間(2回)-森本(1回) / 若月
◆二塁打 坂、中谷、堤
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]左中:緒方 (5-2-0 / 3-0 / 0 / 0) .292
2]右左:柴田 (5-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .221
3]一:坂 (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .178
4]指:上本 (4-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .297
5]中右:中谷 (4-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .235
6]二:西田 (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .222
7]三:森越 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .185
8]捕:坂本 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .250
9]遊:植田 (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .095
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
秋山 6回 72球 (5-5-1 / 2-2 / 3.86) 140
金田 0.2回 16球 (2-1-0 / 0-0 / 0.00) 147
山本 0.1回 7球 (0-0-0 / 0-0 / 1.17) 142
桑原 1回 7球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 142
鶴 1回 17球 (2-1-0 / 0-0 / 0.00) 143
<試合経過>
1回の攻撃は緒方の右前打などで1死二塁として坂がタイムリー二塁打、上本の左前打に続き中谷が右中間へのタイムリー二塁打、さらに西田の左犠飛で計3点を先取。先発の秋山が3回に1点を返されるも、4回には中谷の四球から西田の右前打、森越の犠打で1死二、三塁として坂本が中前タイムリー。植田の四球などで2死一、二塁となり柴田が右前タイムリー!これで2人生還。その裏にもう1点返され、6対2のまま試合が進む。
4回以降、阪神打線は3安打と3四球とチャンスを作りながら追加点なし。一方のリリーフ陣は7回に金田が2死を取ってから連打され、代わった山本が2死一、三塁のピンチを切り抜けた。8回の桑原は三者凡退。9回は鶴が2本のヒットを許したものの0点に抑えてゲームセット。
もっと投げたいアピール?秋山
秋山投手は6回で72球、5安打2失点。奪った三振5つがすべて見逃しですね。「ストライクゾーンが広かったので、有効に使いました」。なるほど。真っすぐがコーナーに決まっていたのでは?「しばらく、真っすぐに関してはストレスを感じながら、違和感を覚えながら投げていたんです。でも、この1週間でいろいろ気づいて、きょうはしっかり修正できた」。違和感というのは「腕が振れないとか強い球がいかないとか、いろいろ」だそうで、それがクリアできて「いい方向に向かっていくと思います」とのこと。
球数が少なかったですね。「もっと投げたいアピールはしたんですけど」と苦笑いでした。この点は掛布監督が「5回、6回と三者凡退で、もう1回見たいねというところで終えてる。2点取られたけど、いいピッチングだった。でも投げなきゃいけない人とかいて、ちょっとピッチャー陣が“渋滞”してるんで。きょうの球数なら8回くらいはいけたねえ」と説明。1軍に関しては「いま横山がいく形になってるから、こっちでイニング増やして、かな」と掛布監督。
最後に、坂本選手のことを聞かれた秋山投手は「3日前に組むとわかって、それくらいから緊張していたのは感じましたね。きょうも試合前は必要以上に話しかけてきたし(笑)。ゲームに入ると僕の調子とかを感じながら、けっこう強気にリードしてくれたかな」と振り返っています。
坂本「プレーできることが嬉しい」
初めての公式戦にフル出場して勝利、初安打と初打点も記録した坂本選手は、一番最後にロッカーを出てきました。「緊張しているつもりはなかったんですけど、みんなにそう言われて。でも試合に入ったら、まあまあ思ったようにできたかなと」。秋山投手は3日前から緊張が見えたそうですよ。「そう思われるってことは、まだまだですねえ」と苦笑。そして「ピッチャーに気を使わせるのはよくないので、できるだけ使わせないようにしたい」と真剣な顔です。
1試合フルでマスクをかぶったことには「なかなかないので、久しぶりの感じはしました。こうやってプレーできることが楽しいです」との感想。試合を振り返って「やっとここまで来たんですけど、足りないものもたくさんあるので。コミュニケーションもそうですし、自分の思いを伝えて、ピッチャーの思いも伝えてもらって」と話しました。バッティングは?「毎日、掛布監督やコーチに気にかけていただいているので、それが試合で形になってよかったと思います」
坂本選手の“デビュー”に当たり、掛布監督は「緊張したようだけど、9回守りきって大きなミスはなく、非常に落ち着いて無難にゲームを組み立ててくれた。初めてにしては上々じゃないですか」と合格点。山田バッテリーコーチも「まあこれくらいできると我々も思っていますし、慌てることなくいけた。(左わき腹筋挫傷の)リハビリ中も、いっぱい球を受けたり、キャッチング練習もしていたからね」とのことでした。
「あとスローイングがどんな感じか見てみたい。ワンバウンドの処理も」と山田コーチ。やはり緊張のせいか、あまり言葉が出なかったと分析しながらも「ベンチではコミュニケーションを取っていたし、よかったですよ。上で原口を使ってくれているから『自分もいける』と思えたでしょう。少し遅れたけど、その間に基礎体力をつけたし試合もずっと見ていたし。もっともっとレベルを上げていけば」と期待のこもった言葉です。