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1試合に左右両打席でホームランを打ち、そのうちの1本はランニング本塁打。この組み合わせは史上初!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)Apr 8, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月8日、「6番・遊撃」として出場したエリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)は、5回裏と7回裏にホームランを1本ずつ打った。

 1本目は左打席、2本目は右打席からだ。

 1本目の打球は、センターのフェンスを越えていった。2本目の打球は、方向こそ1本目と近かったが、ライン・ドライブを描き、フェンスのかなり手前でバウンドした。前方へダイブしたサル・フリーリック(ミルウォーキー・ブルワーズ)のグラブがわずかに届かず、ボールは後ろへ。デラクルーズは、快足を飛ばし、ホームまで戻ってきた。ランニング本塁打だ。

 なお、これまでの記事では、フレリックと表記していたが、フリーリックのほうが発音に近い気がするので、今後はフリーリックとする。

 通算536本塁打のミッキー・マントルは、両打席ホームランを10試合で記録し、ランニング本塁打は6本打っている。だが、ランニング本塁打を含む両打席ホームランは、一度もなかった。史上最多の14試合で両打席ホームランを記録した、マーク・テシェーラニック・スウィッシャーも同様だ。テシェーラのランニング本塁打は0本、スウィッシャーは1本だった。

 ただ、1試合に左右の両打席からホームランを打ち、そのうちの1本がランニング本塁打は、史上初ではない。イライアス・スポーツ・ビューローによると、1961年以降、デラクルーズが6人目だという。モーリー・ウィルスが1962年5月30日のダブルヘッダー1試合目、ウィリー・ウィルソンが1979年6月15日、デボン・ホワイトが1992年6月1日、ケン・カミニティが1994年7月3日、カルロス・ギーエンは2004年5月31日に記録している。

 1960年以前を調べたところ、ランニング本塁打を含む両打席ホームランを記録した選手は、見つからなかった。

 デラクルーズの前の5人のうち、カミニティは、両打席ホームランが10試合、ランニング本塁打は4本ながら、ウィルスとウィルソンの両打席ホームランは1試合しかなく、ホワイトとギーエンのランニング本塁打は1本だけだ。カミニティは、1994年7月3日に、最初の両打席ホームランと最後のランニング本塁打を記録した。

 パワーとスピードを備えるデラクルーズなら、2度目もあり得そうな気がする。現在の年齢は22歳だ。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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