赤い衝撃。レッズの「44」はデビュー2試合で二塁打、ホームラン、三塁打
エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)は、21歳のドミニカンだ。メジャーリーグでは、まだ2試合しかプレーしていない。
だが、3安打はいずれも長打だ。二塁打、ホームラン、三塁打を1本ずつ打っている。「4番・三塁」としてデビューした6月6日は、四球、二塁打、四球、内野ゴロ、三振。その翌日は「4番・遊撃」として出場し、ホームラン、三塁打、三振、三振。3安打と2四球なので、9打席で5度出塁している。
それだけではない。スタットキャストによると、2安打目の推定飛距離は458フィート。グレートアメリカン・ボールパークのライトの最上段にいた、観客のところまで飛んでいった。また、3安打目は、打席から三塁まで10.83秒で到達した。スタットキャストは、今シーズンのメジャーリーグで最も短いタイムとしている。
昨シーズンは、A+とAAの計121試合で、打率.304と出塁率.359、28本塁打と47盗塁、OPS.945を記録した。今シーズンの昇格前は、AAAの38試合で、打率.298と出塁率.398、12本塁打と11盗塁、OPS1.031。それぞれの三塁打は、9本と3本だ。そのパワーとスピードを、メジャーリーグでも、いきなり発揮している。
デラクルーズの背番号「44」は、昨シーズンまで、アリスティデス・アキーノ(現・中日ドラゴンズ)が使用していた。
今世紀に入ってから、数シーズンにわたってレッズの「44」としてプレーしたのは、アダム・ダン(2001~08年)、マイク・リーク(2010~15年)、アキーノ(2019~22年)の3人だ(アキーノは2018年に背番号「63」でメジャーデビュー)。彼らのうち、リークは先発投手だが、ダンとアキーノはどちらもパワー・ヒッターだ。
ダンの通算本塁打は462本。レッズ時代の270本塁打は、球団5位に位置する。2004~08年は、5シーズン続けて40本以上のホームラン――その2シーズン目以降は4シーズンとも40本ちょうど――を打った。
アキーノは、2019年に、AAAとメジャーリーグで計47本塁打。AAAの78試合で28本のホームランを打ち、昇格後に56試合で19本塁打を記録した。
ただ、デラクルーズは、ダンやアキーノよりも、こちらもレッズで「44」を背負った、エリック・デービスに近い気がする。
デービスは、通算282本塁打と通算349盗塁。レッズ時代(1984~91年と1996年)の203本塁打と270盗塁は、球団10位と9位だ(デビュー当初の背番号は「55」)。1987年は、37本塁打と50盗塁。ナ・リーグとア・リーグにおいて、デービスの他に「30-50」を達成した選手は、1990年に33本塁打と52盗塁のバリー・ボンズしかいない。
デラクルーズの背番号「44」は、偶然ではないのかもしれない。デービスは、育成部門のスペシャル・アシスタントとして、レッズに籍を置いている。