2024年9月末で姿消す高速ゆうばり号の現状 夕張市内の乗客は夕鉄本社ターミナルからの1名のみだった
北海道中央バスは、2024年9月末をもって旧夕張駅前にあるレースイリゾートと札幌駅前を結ぶ高速ゆうばり号を廃止する方針を公表した。これと同時に始発の高速ゆうばり号の車両の送り込みを兼ねた岩見沢―夕張間の路線バスも廃止されるという。理由は慢性的なドライバー不足に加え運行経費の高騰などから路線の維持が困難になったことだという。
筆者は、夕張から札幌に向かう高速ゆうばり号の始発便の乗ることにし、この前日は岩見沢市内に宿泊。高速ゆうばり号の始発便の車両の送り込みを兼ねた岩見沢ターミナルからの路線バスに乗車し夕張へと向かったことは2024年6月10日付記事(「攻めの廃線」から5年!高速ゆうばり号と共に姿消す岩見沢―夕張間路線バス 通し乗車はマニアのみの現実)で触れたとおりだ。
夕張市中心部ではかつて、ホテルマウントレースイとホテルシューパロが営業していたが、石勝線夕張支線の「攻めの廃線」の翌年の2020年、これらのホテルの運営会社が倒産したことにより休業状態となり、夕張市中心部に宿泊できるホテルがなくなったことから、岩見沢市内に宿泊することにした。
高速ゆうばり号には夕鉄本社ターミナルから乗車
2023年9月末で夕鉄バスが夕張市内から新札幌に向かうバス路線を廃止した。これにともなって北海道中央バスの運行する高速ゆうばり号は、夕鉄本社ターミナルへの乗り入れを開始した。筆者は、高速ゆうばり号の乗り入れを開始した夕鉄本社ターミナルの現状を確認するべく、岩見沢ターミナルからレースイリゾートに到着後、タクシーで一足早く夕鉄本社ターミナルへと向かうことにした。レースイリゾートからは3km弱の距離がある。
夕鉄本社ターミナルに到着し、待合室内に掲示されている時刻表を見たところ昨年の路線廃止にともなって札幌方面のバスの時刻は空欄となっていた。その一方で北海道中央バスの高速ゆうばり号の時刻表は入り口横の窓ガラスに貼り付けてあった。しかしこの高速ゆうばり号の夕鉄本社ターミナルへの乗り入れもわずか1年で姿を消すことになる。
夕張からの乗車はわずか1名
始発のレースイリゾートを8時43分に発車した高速ゆうばり号が夕鉄本社ターミナルに到着したのは8時48分のこと。到着したバスの乗客は0名で夕鉄本社ターミナルからは筆者のほかに1名の乗車があり、地元の方のような雰囲気だった。この時間帯の高速ゆうばり号であれば札幌駅前には10時24分に到着できる。運賃は2070円だ。
しかし、高速ゆうばり号がなくなる10月1日以降は、レースイリゾート(夕張)からは8時40分発の路線バスで42分かけて新夕張駅に向かい9時22分に到着。新夕張駅からは9時34分発の特急おおぞら号で南千歳駅に向かい10時8分に到着。そこから10時12分発の区間快速エアポート号に乗り換え、札幌駅到着は10時52分となる。所要時間は、高速ゆうばり号の1時間36分から、2時間12分に増加する。
夕張市民には新夕張―南千歳間の「特急券代用証」が発行されこの区間の特急列車に無料で乗車できることから、必要となる運賃は、新夕張までの路線バスが760円、新夕張―札幌間のJR乗車券が1890円となり、運賃の合計は2650円となる。なお、一般乗客はこれに特急料金が必要となり南千歳であれば1160円、札幌までであれば1680円が追加でかかる。
夕鉄本社ターミナルを発車した高速ゆうばり号は、筆者を含めて2名の乗客を乗せ夕張峠を下り栗山町へ。栗山町内に入ると角田本通で4名を乗せ、栗山高校と栗山駅でそれぞれ1名が下車した。栗山駅からは5名が乗車した。
現状は栗山・南幌―札幌間の利用がメイン?
栗山駅を発車すると、夕張鉄道北長沼駅があった長沼町の北部を通り南幌町へ。南幌町内では、バスターミナルの南幌ビューローで2名が乗車。さらに南幌消防署で2名の乗車があった。南幌町を過ぎると夕張鉄道の終点の野幌駅のある江別市へ。
江別東インターから道央自動車道へ入るが、高速道路の走行時間は20分に満たなかった。そして札幌インターを降りてバスは札幌市内へ。札幌市中心部の時計台前で6名が下車し、終点の札幌駅前では7名が下車した。
高速ゆうばり号の乗車実態としては、夕張から札幌に向かうわずかな利用と栗山町内の利用のほか、栗山・南幌から札幌を結ぶ利用が見られ、メインの利用者は栗山・南幌―札幌に集中しているように感じられた。
夕張―札幌間の需要の減少については、やはりレースイリゾートバス停前にあるホテルマウントレースイの閉鎖や、「攻めの廃線」による夕張駅の廃止で地域の活力の低下が大きいのではないだろうか。
(了)