「舞いあがれ!」舞はもう一度空に舞いあがる。制作統括は断言
まるで舞がやっているようなことを、ドラマ制作スタッフが
連続テレビ小説「舞いあがれ!」(NHK)では舞(福原遥)の会社こんねくとが、東大阪の町工場をつなぐ仕事をはじめた。
「失敗も経験しながら、消費者と技術を結びつけることを学び、作ったチタンの指輪が佳晴(松尾諭)と道子(たくませいこ)の結婚のあと押しをしました」と語る制作統括・熊野律時チーフ・プロデューサー。
「ものづくりが形になっていきます」とCPが言うように、ランプや指輪と魅力的な製品が誕生して前向きな気持ちになる。ランプは残念ながら、こんねくと発にはならなかったが、天井に絵が映るすてきな製品だった。
熊野「ランプも指輪も、東大阪の町工場の方々に相談して、アイデアを出して作っていただきました。ランプはパンチングメタルの技術の話を聞いて、これで何かつくるならどういうものができますかというご相談をしたもので、まるで舞がやっているようなことを、ドラマ制作スタッフがやりました。こういうものができるのではないかと町工場の方々に知恵を出していただいて、いくつかの工場のすばらしい技術のご協力によってすてきなランプが出来上がりました。まさにドラマの制作の過程とリンクしました。チタンの指輪は、チタン製のアクセサリーはすでに世の中にあるものですが、佳晴と道子の結婚の話に合わせて、金属アレルギーの人でも使えるアクセサリーを作る話を考え、物語に合ったものを作ってもらいました。必要としている人にぴったりなものを届けるという、舞がやろうとしていたことにハマったかなと思います」
――すてきな製品が欲しくなります。以前「ちゅらさん」でゴーヤーマングッズを出していたように、商品化はできないのでしょうか。
熊野「難しいですね。あのランプはひとつ作るのもなかなか大変なので……(笑)」
不器用な人物をユーモアを交えて描く
さて、こんねくとの製品がひととひとを結びつけていく、あたたかいエピソードの週の脚本を担ったのは佃良太さん。第10週「別れと初恋」では舞と柏木の恋もよう、第18週「親子の心」では久留美と八神先生と佳晴の人間もようを担当している。佃さんの脚本の魅力を熊野CPに聞いた。
熊野「佃さんはNHKの創作テレビドラマ大賞を受賞した『星とレモンの部屋』がドラマ化されたご縁もあって、『舞いあがれ!』のプロットづくりに参加していただき、いくつか脚本も描いていただきました。情報量の多いエピソードで力を発揮してもらいましたし、佳晴のエピソードなど不器用な人物をユーモアを交えて描いてくれます。第23週は、佳晴と道子のエピソードを面白く描いてくれました。なんといっても、台風の晩に舞と貴司(赤楚衛二)、久留美(山下美月)と悠人(横山裕)の2組がランプの前で語り合う場面はあたたかみがあってすてきなシーンになりました。舞と貴司の夫婦らしい場面が描けたことと、久留美と悠人がちょっとずつ近づいたという雰囲気が出せました」
――第111回で「いい声出ましたね」と御園が言ったとき、第14回、うめづで職人たちが盛り上がったときのセリフ「ええ声出たな」を思い出しました。これは台本にあったものですか?
熊野「どちらも無理な納期の話に思わず大きな声が出るんですよね(笑)。台本にあったものですが、全体でアイデアを出しながらつくっているので、どの段階で誰発だったかはわからないです」
――悠人と久留美の関係が気になります。
熊野「悠人は久留美にも佳晴にも幸せになってほしいという気持ちが強いんです」
もう一度空に舞いあがっていく
佃さんの担当週はまだあるそうだ。熊野CPの話を聞いて思ったのは、テーブルの下に潜ってドキッとなるシーンや、第23週の、停電になりランプをつけて静かに語り合うシーンなど、シチュエーションによって人間の感情が動く台本を描ける作家なのだなということ。
佃さんの今後の活躍にも期待したい。
「舞いあがれ!」はあと3週。
「舞が取り組んでいる、ひととひとをつなげていくことから、もう一度空に舞いあがっていくので、どうやって舞いあがるのか、楽しみに見てほしい」と熊野CPをはじめスタッフは仕上げ作業に勤しんでいるところだ。
連続テレビ小説「舞いあがれ!」
総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り
BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30〜7:45
出演:福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、山口紗弥加、山口智充、くわばたりえ、松尾諭、たくませいこ/永作博美
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太