パン?それともお饅頭?人形町・三原堂本店の「あんぱん焼き」は摩訶不思議な食感のほっこりおやつ
創業明治10年、水天宮の傍らで長年美味しいお菓子を販売なさる「三原堂本店」さん。人形町の本店のほか、都内のみならず千葉県や茨城県にもお店を展開されています。どら焼きやお饅頭、季節の上生菓子やご進物の詰め合わせのほか、本店にはショートケーキやロールケーキ、バースデーケーキといった洋菓子も並び、街の人たちから愛されるアットホームな雰囲気も魅力の一つ。
和菓子屋さんというと敷居が高かったり、瀟洒な佇まいすぎて入るのが気後れしてしまうなどございますが、老舗ながらも非常に入りやすいのも愛される秘訣かもしれません。
今回ご紹介するのは、なんとも不思議な「あんぱん焼き」というお菓子です。
小麦色の焼き肌は、こんがり焼けた美味しそうなあんぱんそのもの。てっぺんにぱらぱらとまぶされた黒胡麻が、よりあんぱんらしさを演出しています。
なのですが、やや平べったいフォルムはパンとよぶにはやや控えめなような気がしなくもなく。
ふしゅふしゅと空気を押し出すように口の中で押しつぶされていく感覚は、確かにパンのようでもあり焼き饅頭のようでもある食感。
パンでいうところのブリオッシュに近いものを感じます。わずかな弾力を感じるのは、もち粉が配合されているからでしょうか。また、非常にしっとりとしたどこか和菓子には珍しいリッチな風味は、アーモンドプードルや蜂蜜を仕様した生地だからなのですね。
こし餡も、焼き菓子なので、しっかりと水分が飛ばされておりますが、親しみやすい甘味と油脂が含まれた生地のおかげで一体感が損なわれず、美味しくいただけます。
和菓子というと、ハイカラな味だね、と言いたくなり、パンというとこれはお菓子だね、と言いたくなる不思議なお菓子。
朝ごはんには物足りないかもしれませんが、まだほんの少し肌寒い日には温かい牛乳と一緒に召し上がるのがおすすめなお菓子です。